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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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Cap'n Jazz / Analphabetapolothology (1998年)




今回紹介する名盤はキンセラファミリーの根幹に位置するバンドのアルバムです。

ジャンル

エモ
インディーロック

アメリカ

Tim Kinsella
Mike Kinsella
Sam Zurick
Victor Villarreal
Davey von Bohlen



バンド

今や伝説のバンドと言っても過言ではないバンドCap'n Jazzが結成されたのは兄Tim Kinsellaが15歳、弟Mike Kinsellaが12歳の時であります。
メンバー全員が人生で一番多感な10代に結成し、5年ほどで解散しました。

当時この10代のバンドが後のエモからインディーロック、ポストロックや音響派、ギターポップにマスロックにまで幅広く影響を与えると誰が思っていたでしょう。
現在ではCap'n Jazzから派生したバンド、色濃く影響を受けたバンドは数えきれません。

そんなCap'n Jazzのスタジオアルバムはたったの1枚だけであとはスプリット盤だけでした。
しかし、あまりに反響があったため1998年にCap'n Jazzの殆どの曲を一挙にまとめたベスト「Analphabetapolothology」が発表されました。

音は悪いし演奏も荒削り、歌もコーラスもへたっぴなのに聴衆を惹き付ける圧倒的なこのエネルギーは10代の時にしか出せないでしょう。

Tim Kinsellaのお世辞にも上手いと言えないボーカルに抵抗がある人もいるかもしれませんが、一度ハマってしまうと抜け出せないほどの中毒性があります。

ありとあらゆる感情のバケツを蹴飛ばして、ぶち撒けたようなヘロヘロ絶叫ボーカルに、荒削りながらも疾走するヨレヨレサウンドは最高にエモいんです。

恥ずかしながら私は1年以上友達に教えてもらうまでこのバンドを「カップン ジャズ」と読んでいました。
いないとは思いますが、正しくはCaptain Jazzなので「キャプン ジャズ」です。


アルバム

本作はCap'n Jazzの2枚組のベスト盤になります。
本作の1枚目には唯一のスタジオアルバムの曲が収録されていて、2枚目には複数あるスプリット盤の曲が集められています。

この2枚組のベスト盤だけでCap'n Jazzの音源は制覇できます。
そんな贅沢な内容なのにも関わらず、定価で2000円を切っているんです。

また本作にも収録されているスタジオアルバムはローリングストーンズ誌の「最も素晴らしいエモアルバム TOP40」というランキングで第7位にランクインしています。

本作にはA-haの名曲「Take on Me」のヘロヘロカバーも収録されています。

キンセラファミリーの初期衝動が詰まった原点にして頂点の名盤を是非。

Puddle Splashers


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John Coltrane / The Olatunji Concert: TheLast Live Recording (2001年)




今回紹介する名盤は常に現状に満足せず音楽を追求し続けたジャズ界の巨人のアルバムです。

ジャンル

ジャズ

アメリカ

John William Coltrane


アーティスト

今でこそジャズと言えばJohn Coltraneの名前は3番目以内にはあげられるほどの人物ですが彼の人生はそんなに華々しいものではありませんでした。
John Coltraneは13歳でクラリネットを始め、その後サックスに換え20歳の頃にはプロとして活動を開始しますが、中々実力を認めてもらえず長い下積み時代を過ごします。

1955年に当時からジャズ界の第一線で活躍していた帝王Miles Davisのバンドメンバーにやっと抜擢され注目されますが、この時期のJohn Coltraneの演奏はイマイチ評価されませんでした。
そして、1957年に脱退しThelonious Monkのバンドで修行を始めて数ヶ月すると、John Coltraneは「神の啓示を受けた」と話し、ついに実力が開花したのです。

進化してすぐにジャズを代表する名盤「Blue Train」を発表して1958年からまたMiles Davisのバンドに参加し、ついにJohn ColtraneはSonny Rollinsと並ぶサックス奏者として世間に評価されるのです。

この時期の演奏は怒濤の勢いで吹き続け、音を敷き詰めることから「シーツ・オブ・サウンド」と言われました。

世間から20世紀を代表するジャズ奏者として認知されますがJohn Coltraneはそれに満足せず、さらに前進を続けます。

その頃のライブではバンド全体が一つとなって鬼気迫る演奏を繰り広げ、1曲の演奏が1時間になることもあるくらい前衛的な表現をしていた一方で、バラード調の曲ばかりを収録した作品を発表したりもしていました。

そして、1967年には度重なる薬物とアルコールの多量摂取による肝臓癌でこの世を去ります。


アルバム

本作の発表は2001年、勿論John Coltraneが亡くなってから発表されたライブアルバムで収録されたのが1967年になります。

勘のいい人はお気付きかもしれませんがJohn Coltraneはこの年に亡くなっているのです。

もっと言うとこのライブの3ヶ月ほどで亡くなってしまうのですが、私はこのことを信じられないでいます。

なぜなら、集中放下する爆撃のような激しいリズム隊に引け劣らないほど鬼気迫る演奏は銃撃戦の戦地に駆り出されたのかと錯覚してしまうほどです。

ジャズに興味を持ち、Bill Evansの「Waltz for Debby」でジャズにハマり、Miles Davisの「Kind of Blue」でジャズの凄さを知り、本作でジャズが分からなくなりました。

私は初め「ジャズ=落ち着いた音楽」というイメージがあったので本作を拒絶してしまいましたが、ある時ウォークマンの全曲シャッフルでボーッと聴いていて「My Favourite Things」が流れJohn Coltraneの演奏が始まった瞬間、頭の中に嵐のような爆風が吹きました。

1人の人間の命を完全燃焼させて、全身全霊を賭けた渾身の演奏が聴ける名盤を是非。

My Favorite Things ※その時のライブではありません


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Emerson, Lake & Palmer / Tarkus (1971年)




今回紹介する名盤はプログレ界を代表するギターレスバンドです。

ジャンル

プログレッシブロック

イギリス

Keith Emerson
Greg Lake
Carl Palmer


バンド

Emerson, Lake & Palmer(以下 ELP)はジャズ、ロック、クラシックに影響を受けた重厚なキーボードをを奏でるKeith Emersonとプログレ帝王King Crimsonで活躍し、後にAisaでも活躍するベーシストGreg Lake、そしてローリングストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマーで10位にランクインするドラムCarl Palmerのスリーピースバンドです。

King Crimson、PINK FLOYDYes、ELPこれらを俗にプログレ四天王と呼びます。

まずELPを聴いて思うのは本当にスリーピースバンドなのか?と疑いたくなるほど分厚くテクニカルな音が鼓膜に届けられ驚き、ギターが無いのにヘビーでハードなサウンドでまた驚きます。

Keith Emersonは元々The Niceというバンドで活動していたのですが、このバンドでは本来の力が発揮出来ないと感じ、新たにキーボードトリオというギタリストのいないバンドを結成しようと考えていました。
そんな時にGreg Lakeと出会い意気投合し、2人で新しいバンドに必要なドラムを探していたところ、Atomic Roosterで活躍していたCarl Palmerを引き抜きELPが誕生します。

結成してから4ヶ月かそこらで音源も出していないにもかかわらず1970年に開催された世界最大級のフェス「ワイト島フェスティバル」に出演しました。
クラシックやジャズを思わせる音楽にステージ上のパフォーマンスは非常にアグレッシブです。

キーボードにナイフを突き刺して音を出し続けたり、揺らしたり、倒したりしてフィードバックノイズを出していてその辺のロックバンド顔負けのアクションでした。

そして、何より驚いたのは「ピアノ縦回転演奏」です。



これは驚きを通り越して笑ってしまいました。
天才の考えることは分かりません。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第一部に登場するタルカスの元ネタです。

アルバム

本作はELPの2枚目のアルバムで1971年発表のライブアルバム「Pictures at an Exhibition 邦題 展覧会の絵」や1973年に発表された「Brain Salad Surgery 邦題 恐怖の頭脳改革」と並んで最高傑作とされています。

Tarkusとはどういう意味か。

結論から言いますと意味は無くて、Keith Emersonが突然思い付いたジャケットに描かれている空想上の怪物なのです。

特撮とかに出てきそうなデザインに加え、「火山の中から姿を現し、地上の全てを破壊しまくり(火山に帰るのではなく)海に帰っていく」というこれまた特撮にありそうなストーリーがコンセプトになっています。

本作は吉松 隆の手によってオーケストラバージョンに編曲もされていて2012年にはNHK大河ドラマ「平清盛」で使用されたので知らずのうちに聴いているかもしれません。

プログレ三銃士が想像した怪物タルカスが暴れまわる世界を音で創造した名盤を是非。

Tarkus


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Jimi Hendrix / Electric Ladyland (1968年)




今回紹介する名盤はローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリストで堂々の第1位に選ばれ続けているギタリストのアルバムです。

ジャンル

サイケデリックロック
ハードロック
ブルース

アメリカ

James Marshall Hendrix


アーティスト

今からほぼ半世紀前の1970年にこの世を去ったのにも関わらず音楽に興味の無い人でも「ジミヘン」という名前は聞いたことくらいはあるでしょう。

音楽や芸術、料理など正解の無い世界では私のような凡人にはその価値がよく分からない事がよくあります。
有名なのでいうとロスコの「ホワイト・センター」という作品



これが80億円以上で取引されたり、高級レストランや料亭では「このちょこっとしかない料理が何万もするの?ラーメン何杯食えるんだよ」とかだったりすることがあります。

Jimi Hendrixの音楽もそんな世界の音楽のような気がするので、数々の著名人の言葉を借りて紹介します。

ギターの神様 Eric Clapton
「僕とJeff Beckが2人がかりでも彼には敵わないだろう」
孤高のギタリスト Jeff Beck
「ノッてる時の彼を超えるギタリストなどいるわけがない。自分がギタリストであることが恥ずかしくなる」
ジャズの帝王 Miles Davis
「俺がやりたかった音楽はこれだ」
Miles Davisの頭脳 Gil Evans
「彼のアルバムを聴くと毎回新しい発見がある。それは彼が優れた作曲家だった証拠」
The Beatlesメンバー  Paul McCartney
「彼はギターのエース。僕の中では永遠のナンバーワンだ」
The Beatlesメンバー  John Lennon
「彼はロックの指導者、革新者。この時代で最も影響力を持った人間の一人だった」
The WhoのギタリストPete Townshend
「君は天才だが、俺達には楽器破壊の芸しかないので先に演奏させてほしい」

このように世界の第一線で活躍する本物達が恐れをなした人間だったのです。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第五部 フーゴのスタンドや第六部 空条徐倫のスタンド、第七部ブンブーン一家の馬といったようにたくさん元ネタにされています。

アルバム

本作はオールタイム グレイテスト アルバムで54位にランクインしたJimi Hendrixの3枚目のスタジオアルバムになります。

発売当初は19人の女性ヌードモデルの写真がデザインされた刺激の強いジャケットでしたが、今ではJimi Hendrixの顔をデザインしたジャケットに統一されました。

「All Along the Watchtower 邦題 見張搭からずっと」はJimi Hendrixが敬愛するBob Dylanのカバー曲で、このカバーをBob Dylanは「この曲の権利の半分くらいは彼のものだ」と評価していてJimi Hendrix自身シングルチャート最高位の全米20位を記録しています。

Jimi Hendrixの代表曲である「Voodoo Chile (Slight Return)」も本作に収録されています。

ストラトの魔術師の脳内に直接アンプを繋いで鳴り響く名盤を是非。

Voodoo Chile (Slight Return)


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XTC / Black Sea (1980年)




今回紹介する名盤はパンクブーム絶頂期に忽然と現れた異質なバンドです。

ジャンル

ポップロック
ニューウェイヴ
サイケデリックロック

イギリス

Andy Partridge
Colin Moulding
Terry Chambers
Barry Andrews
Dave Gregory


バンド

XTCというのは「エクスタシー」に引っかけてAndy Partridgeが名付けました。
そんなXTCはパンク全盛期の1976年に結成し1977年にSex Pistolsと同じヴァージンレコードからデビューしましたが、その頃主流のパンクバンドとはひと味もふた味も違いました。

ユニークで少し毒づいた歌詞や一筋縄ではいかないサイケデリックなメロディーラインなどから「ひねくれ者」と形容されていました。

しかし、The BeatlesThe Beach Boysのポップな部分を継承してこれらのバンドとは別の角度からのポップスに挑戦していて非常に耳馴染みがいい音楽なんです。

Built To SpillJoan of Arcのような「ひねくれポップ」の元祖と言えるのではないでしょうか。
難解で訳がわからない曲を作るのは簡単だし、大衆受けするキャッチーな音楽は溢れ返っていますがXTCの音楽はそのどちらでもなく、ただ聴いているとキャッチーなんですが、よく聴いてみると難解なことをしているAndy Partridgeのさじ加減にはセンスを感じます。

XTCの音世界は後のブリットポップバンド達にも大きな影響を与え、日本では奥田民生や布袋寅泰、P-MODEL、鈴木慶一サカナクションSpecial Othersなど多方面のアーティストに影響を与えています。

Special Othersの「AIMS」が好きなら是非「Living Through Another Cuba」を聴いてみて下さい。

1977年に発表した「Go 2」のアルバムジャケットを手掛けたのはPINK FLOYDやLed Zeppelinでお馴染みのヒプノシスです。

因みにジョジョリオン4巻のサブタイトル「レモンとみかん」の元ネタはXTCが1989年に発表した「Oranges & Lemons」になります。

アルバム

本作はXTCの4枚目のアルバムなのですが、デビュー作の「White Music」から僅か2年しか経っていないという恐ろしい創作意欲なんです。
次作1982年発表の「English Settlement」は全英5位に輝きましたが本作をXTCの最高傑作に選ぶ人が多い作品です。

Special Othersの「AIMS」とメロディーラインがほぼ同じの「Living Through Another Cuba」は本作に収録されています。

Andy Partridgeのほろ酔いじゃないかと疑いたくなる歌い方がいい感じの抜け感なので、こっちまで楽しくなってきます。

このブログの他の記事を奇跡的に見ている人は気付いたかもしれませんが、私の聴く音楽は暗い雰囲気のものが多いのです。
しかし、本作はリズミカルで聴いていて体が勝手に踊り出したくなるくらい明るい音楽なんです。

時代を先駆けていた元祖ひねくれポップ職人が勢いに乗っていた時期の名盤を是非。

Living Through Another Cuba


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