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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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XTC / Black Sea (1980年)




今回紹介する名盤はパンクブーム絶頂期に忽然と現れた異質なバンドです。

ジャンル

ポップロック
ニューウェイヴ
サイケデリックロック

イギリス

Andy Partridge
Colin Moulding
Terry Chambers
Barry Andrews
Dave Gregory


バンド

XTCというのは「エクスタシー」に引っかけてAndy Partridgeが名付けました。
そんなXTCはパンク全盛期の1976年に結成し1977年にSex Pistolsと同じヴァージンレコードからデビューしましたが、その頃主流のパンクバンドとはひと味もふた味も違いました。

ユニークで少し毒づいた歌詞や一筋縄ではいかないサイケデリックなメロディーラインなどから「ひねくれ者」と形容されていました。

しかし、The BeatlesThe Beach Boysのポップな部分を継承してこれらのバンドとは別の角度からのポップスに挑戦していて非常に耳馴染みがいい音楽なんです。

Built To SpillJoan of Arcのような「ひねくれポップ」の元祖と言えるのではないでしょうか。
難解で訳がわからない曲を作るのは簡単だし、大衆受けするキャッチーな音楽は溢れ返っていますがXTCの音楽はそのどちらでもなく、ただ聴いているとキャッチーなんですが、よく聴いてみると難解なことをしているAndy Partridgeのさじ加減にはセンスを感じます。

XTCの音世界は後のブリットポップバンド達にも大きな影響を与え、日本では奥田民生や布袋寅泰、P-MODEL、鈴木慶一サカナクションSpecial Othersなど多方面のアーティストに影響を与えています。

Special Othersの「AIMS」が好きなら是非「Living Through Another Cuba」を聴いてみて下さい。

1977年に発表した「Go 2」のアルバムジャケットを手掛けたのはPINK FLOYDやLed Zeppelinでお馴染みのヒプノシスです。

因みにジョジョリオン4巻のサブタイトル「レモンとみかん」の元ネタはXTCが1989年に発表した「Oranges & Lemons」になります。

アルバム

本作はXTCの4枚目のアルバムなのですが、デビュー作の「White Music」から僅か2年しか経っていないという恐ろしい創作意欲なんです。
次作1982年発表の「English Settlement」は全英5位に輝きましたが本作をXTCの最高傑作に選ぶ人が多い作品です。

Special Othersの「AIMS」とメロディーラインがほぼ同じの「Living Through Another Cuba」は本作に収録されています。

Andy Partridgeのほろ酔いじゃないかと疑いたくなる歌い方がいい感じの抜け感なので、こっちまで楽しくなってきます。

このブログの他の記事を奇跡的に見ている人は気付いたかもしれませんが、私の聴く音楽は暗い雰囲気のものが多いのです。
しかし、本作はリズミカルで聴いていて体が勝手に踊り出したくなるくらい明るい音楽なんです。

時代を先駆けていた元祖ひねくれポップ職人が勢いに乗っていた時期の名盤を是非。

Living Through Another Cuba


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MGMT / Congratulations (2010年)




今回紹介する名盤は60年代後半に生まれ流行したサイケデリックロックを21世紀バージョンに見事昇華させたバンドのアルバムです。

ジャンル

サイケデリックロック
エレクトロニカ
インディーロック

アメリカ

Andrew VanWyngarden
Ben Goldwasser


バンド

MGMTは元々Andrew VanWyngardenとBen Goldwasserの2人組「The Management」として2002年から活動していましたが、現在はManaGeMenTというように小文字の部分を省略した「MGMT」という名前で活動しています。

MGMTが2007年に発表した「Oracular Spectacular」はNumber GirlMogwai、Weezer、The Flaming Lipsなどを手掛ける敏腕プロデューサーDave Fridmannと共に製作して各音楽メディアのベストアルバムトップ10で好成績を納めました。

NME誌では1位、ビルボード誌10位、ローリングストーン誌4位というように高い評価を受けると共にに世界中で100万枚以上売り上げ商業面でも大成功を果たしました。

その結果、OasisのNoel GallagherやBeck、Paul McCartney、Pharrell Williams、Jay-Z、Beyoncé、Pet Shop Boys、Katy Perryなどといった多種多様なアーティストから称賛されました。
そして、周りから次回作の期待が大きくのしかかりますが、MGMT本人達はそんなプレッシャーを軽く受け流し「ただ楽しんで製作しました」と2010年に「Congratulations」を発表しました。

また、芸大出身のオシャレな2人はコンバースの100周年キャンペーンモデルに抜擢されたり、GUCCIのメンズ ウェア ファッション ショー「MGucciMT」として取り上げられたり、フランスの有名ブランドPETIT BATEAUのイメージキャラクターとして活躍するなど多方面で活躍しています。

その後ツアーサポートしていたメンバー3人が正式加入して5人編成になり、2013年にはセルフタイトル作である3作目「MGMT」を発表しました。

アルバム

本作はそんなMGMTの2枚目のアルバムでSpacemen 3で活躍するSonic BoomことPeter Kemberがプロデュースしたことで話題になりました。

デビュー作の「Oracular Spectacular」をイメージして本作を聴くと少し肩透かしを食らうかもしれません。
しかし、サイケデリックロックとエレクトロニカが絶妙に混ざりあってとても聴きやすいのに飽きの来ないアルバムに感じました。

Congratulationsを直訳すると「おめでとう」になりますが、これは決して自画自賛するような単純なものではなく、もっと深い意味を持っていて、世界的経済危機や名声などに皮肉を込めた「おめでとう」なのです。

本作のコンセプトの一つにラジオで流れるようなシングルとしてというよりもアルバム全体を通して聴いてもらえるか、どうしたらアルバムを全曲聴いてもらえるかを考えて製作しているのです。

因みに「Brian Eno」という曲はあのアンビエントの提唱者Brian Enoのことですが曲自体はアンビエントではなく、グラムロック時代のBrian Enoをイメージした曲になっています。

リスナー達の期待や流行りなどの荒波を自らの音楽で見事にサーフィンした名盤を是非。

Congratulations


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Cream / Wheels of Fire 邦題 クリームの素晴らしき世界 (1968年)



今回紹介する名盤はスーパーグループのはしりとして活躍し、今や伝説のバンドのアルバムです。

ジャンル

ハードロック
サイケデリックロック
ブルース

イギリス

Ginger Baker
Jack Bruce
Eric Clapton


バンド

Creamを知らなくてもEric Claptonの名前は知っている人は多いのではないでしょうか。
Eric Claptonは当時John Mayall & the Bluesbreakersという一流の名手達と演奏するバンドに所属していましたが、Eric Claptonはそのバンドでは何か物足りなさを感じていました。

そこにタイミングよくGinger Bakerが新しいバンドの話を持ってきたのです。
そこでEric ClaptonはJack Bruceが参加するならやるという条件を出しました。
一見何でもなさそうな条件ですが、この条件がかなりの曲者でした。
というのもGinger BakerとJack Bruceは自他共に認めるほど仲が悪かったのです。

しかし、互いに実力は認めていたのでGinger Bakerは条件を飲み、伝説のバンドCreamは結成されました。

Creamと聞くと何か可愛らしいイメージがあるかもしれませんが、Ginger BakerとJack Bruceはジャズ出身なのでゴリゴリの即興演奏とEric Claptonのブルース魂が化学反応を起こしました。

サイケデリックロックのように陶酔できる最高のブルースをそれぞれがこれでもかというほど大音量で演奏した結果、後のハードロックへと続くのです。

その影響力は凄まじくLed Zeppelin、Deep Purple、Rush、The Allman Brothers Band、Grateful Dead、Black Sabbathなど私の知ってるだけでもこれほど多方面のアーティストに影響を与えているのです。

後のロック界に多大な影響を与えたCreamですが活動期間は3年に満たないのです。

なぜかというとCreamにはリーダーが存在せずに超一流3人の強い個性がぶつかり、ついに爆発してしまい空中分解してしまいました。

そんなCreamはローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティストで第66位にランクインしております。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第三部に登場するヴァニラ・アイスのスタンドの元ネタです。

アルバム

本作はそんなCreamの均衡が今にも崩れそうな時期、同時にメンバー全員が一番力を発揮していた時期を収めたアルバムです。

本作はディスク1にはスタジオ録音したものでディスク2にはライブ演奏を録音したものが収録されていて、世界で初めてプラチナアルバムを獲得した2枚組のアルバムとして記録されています。

ディスク1にはCreamの代表曲「White Room」が収録されているのは勿論のこと、なんといってもディスク2のライブ演奏が聴けるのが本作の聴き所でしょう。

Creamの醍醐味はジャズばりの即興演奏です。
実力者同士のぶつかり合いとも言える演奏は鬼気迫るものがあります。

ハードロックのように激しく、サイケデリックロックのように歪んだサウンドの白いブルースロックの名盤を是非。

Crossroads


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The Flaming Lips / Yoshimi Battles the Pink Robots (2002年)



今回紹介する名盤はとあるギネス記録を持つバンドのアルバムです。

ジャンル

オルタナティヴロック
サイケデリックロック
スペースロック
エクスペリメンタルロック

アメリカ

Wayne Coyne
Michael Ivins
Steven Drozd
Derek Brown
(Mark Coyne)

バンド

The Flaming Lipsは今でこそ明るく多幸感溢れる万華鏡サウンドで知られていますが、初期の頃はカルト的なムードのするノイジーなガレージロックバンドでした。
しかし、メンバーも変わりながら少しずつ壮大なスペーシーなサウンドだったり、エレクトロニカ要素を加えたドリーミーなサウンドなどに変化させていきます。

The Flaming Lipsはライブパフォーマンスに定評ががあり、Wayne Coyneが巨大風船の中に入って客席にダイブしたり、たくさんの着ぐるみが登場したり、カラースプレーや無数の風船でライブ会場をカラフルに色付けたりするので、ライブ会場がファンタジーの世界へと変わるのです。

それはまるでディズニーランドなどで行われるパレードのようなので、例えば音楽に全く興味の無い彼女とライブに行っても「今日は楽しかった!」と言ってもらえるでしょう。

そんなリスナー思いのThe Flaming Lipsですが音楽面では非常に探究心があり実験的で1997年に発表された「Zaireeka」は4枚組なのですが、ただの4枚組ではなくてこれは4台のプレイヤーに8台のスピーカーを使って4枚を同時に再生することで初めて曲になるというものです。

そんな音楽環境のあるリスナーは少ないので辛い思いをしたファンがたくさんいたはずです。
因みにASIAN KUNG-FU GENERATIONの「サイレン表裏」も終わりを合わせて再生すると男目線と女目線の掛け合いが楽しめるので是非聴いてみて下さい。

現代版PINK FLOYDと言われるだけあって2009年には歴史的名盤「Dark Side of the Moon 邦題 狂気」のカバーアルバムを発表して話題になりました。

最後になりましたがThe Flaming Lipsの保持するギネス記録は「24時間以内に複数の都市で行ったコンサートの数」であります。
これは2006年までJay Zの持つ7公演を1つ上回る8公演を行い記録更新されました。

ただライブをすればいいのではなくて、ギネス認定員が同行して一定の基準に達したライブが行われていることを認められなければならないのです。

アルバム

本作のタイトルは英語の知識ゼロの私でも分かるレベルで、訳すと「ヨシミ対ピンクのロボット」といった感じでしょう。

ヨシミというのは勿論日本人なのですが、なぜ日本人が選ばれたかというとWayne Coyneの友人で熱狂的ファンの日本人女性の死を切欠に生まれたコンセプトだからだそうです。

亡くなった女性の名前ではなくて、Nirvanaの前座経験を持ちThe Flaming Lipsと面識もある世界的に活躍している日本人バンド「ボアダムズ」のドラマーYoshimiから取られました。

本作にはストーリーがあります。
そのストーリーをザックリ説明すると、街を破壊するためやって来た凶悪なピンクのロボットを退治するために立ち向かう柔道少女ヨシミ。
そして、ヨシミと戦う中でピンクのロボットはヨシミに恋をしてしまい、恋したピンクのロボットはヨシミを攻撃出来ずに倒されてしまうのです。

そんな何処か切ないラブストーリーなのです。

フワフワとしているファンタジックなサウンドにWayne Coyneのヘロヘロなボーカルが切なさに拍車をかけています。

「Do You Realize??」はオクラホマ州の公式の歌に選ばれました。

少女とロボットの叶わぬ恋物語を切なく歌った名盤を是非。

Do You Realize??


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The Beach Boys / Pet Sounds (1966年)



今回紹介する名盤はElton JohnやFleetwood MacのLindsey Buckingham、山下達郎、桑田佳祐などがリスペクトするバンドのアルバムです。

ジャンル

サーフロック
ロック
ポップス
サイケデリックロック
ウェストコーストロック

アメリカ

Brian Wilson
Dennis Wilson
Carl Wilson
Mike Love
Al Jardine
Bruce Johnston


バンド

The Beach BoysはThe Beatlesよりも先に自分達で作詞作曲、演奏、レコーディングをして評価を受けた初めてのバンドです。
また、ローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティストで第12位にランクインするThe Beatlesのライバルとされるバンドと言えるでしょう。

The Beach Boysは「Pet Sounds」を境に明るくノリノリのサーフロック時代とPhil Spectorの影響を伺える繊細に作り込まれた音楽時代に分けられます。

「Pet Sounds」はこれまでのイメージと変わり過ぎたために契約していたレコード会社から敬遠され、保守的なファンにもなかなか受け入れられず、後から発表されたこれまでのベスト版「Best of The Beach Boys」にダブルスコアで抜かれます。

しかし、Paul McCartneyやPete Townshend、Eric Claptonなどには評価され、イギリスでは本国アメリカの反応と異なり好評でアルバムは全英初登場2位記録し、シングルがヒットチャート上位にランクインする結果となりました。

また、ロック殿堂入りを果たし日本でも人気の海外ドラマ「フルハウス」で「ビーチボーイズがやって来た!」の回で出演したりもしています。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第五部に出てくるペッシのスタンドの元ネタです。


アルバム

本作はThe Beach Boys名義ですが、Brian Wilsonのソロ作品と言われるアルバムです。

本作がThe Beatlesの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」に多大な影響を与えたことは有名な話です。

今でこそ、ローリングストーンが選ぶオールタイムベストアルバム500で第2位にランクインするほどの歴史的名盤で、1995年には「MOJO magazine」の作曲家や音楽プロデューサー達の投票で1位に選出されたり、音楽評論家が最良のポップアルバムやロックの名盤と評価されています。

しかし、当時のアメリカのファンが求めていた音楽とは違い過ぎて反響はイマイチでメンバーからも「こんなものを誰に聴かせるんだ、犬にか?」と言われ評価されませんでした。
これをBrian Wilsonは皮肉ってアルバムタイトルを「Pet Sounds」としました。

Brian Wilsonという音楽家がスタジオに籠り、自分とポップスセンスの塊と向き合って作り上げた渾身の名盤を是非。

You Still Believe in Me


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