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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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Jonny Greenwood / There Will Be Blood (2007年)



今回紹介する名盤は常に前進し続けるロックバンドRadioheadのギタリストのソロアルバムです。

ジャンル

映画音楽
クラシック
アンビエント

イギリス

Jonathan Richard Guy Greenwood



アーティスト

Jonny Greenwood(以下Jonny)は幼少期からピアノとバイオリンなどを習い始め、クラシック音楽を中心に勉強していました。
すると早くも音楽の才能が開花し、周りからは音楽家として将来を期待されて神童とまで言われるほどでした。

学校の吹奏楽ではリーダー格の生徒として活躍し、スクール在籍時には活躍ぶりを評価されて表彰されました。
しかし、その反面Jonnyの性格は内気の恥ずかしがり屋さんだったので、本当は当時、兄のColin GreenwoodとThom YorkeとEd O'Brienがやっていたバンドに参加したかったのですが言えずにいました。

そこで、策士のJonnyはバンド練習を見に行くていでしれっと練習に参加し、バンド演奏の横でキーボードを弾き続けます。
そして、ある時フッと練習に行かなくなった時にメンバーが「あれ?なんかサウンドが物足りないな、やっぱりJonnyが必要だ!」と思わせるという壮大な策を仕掛けたのです。

策は実を結びバンドがRadioheadの前身バンドOn a Fridayを結成した時、晴れてオリジナルメンバーのギタリスト兼キーボーディストとなり、現在のRadioheadでは欠かせない存在となりました。

Jonnyはベジタリアンで少食で内気な性格なのに対し、兄のColinは肉も食うビールジャンキーで明るく陽気な性格で全く正反対な2人ですが、どこかの兄弟と違いとても仲が良いんです。

JonnyはLee PerryやPink Floyd、Can、Miles Davis、Elvis Costelloなど幅広いジャンルの音楽を好み、他には60~80年代の日本のアニメ好きで、ギターにはアタックNo.1のステッカーを貼ったり、サイボーグ009のTシャツも持っているほどです。

アルバム

本作はアカデミー賞やベルリン国際映画祭、ゴールデングローブ賞など無知の私でさえ聞いたことのある賞をいくつも受賞した映画「There Will Be Blood」のサントラです。

私の中で「名作と言われる映画やゲームにはいい音楽あり」の法則があって本作も例に漏れず、作品の雰囲気ムンムンで素晴らしいです。

本作はほぼバイオリンやチェロなどの弦楽合奏で音を構成されているので、本作の前知識が全くない状態で聴いたら、これを作曲した人がロックバンドのギタリストとなんて夢にも思わないでしょう。

本作にはJonnyが幼少期に築き上げたクラシックの知識や技術がふんだんに詰め込まれた作品でRadioheadのような音楽を期待して聴いたら肩透かしを食らうでしょう。

映画の内容通りの狂気さがメロディーを持たない不協和音のようなサウンドで恐怖感を煽り作品全体に漂います。

神童と言われたクラシックセンスがキラリと光る狂気的名盤を是非。

Prospectors Arrive


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Chick Corea / Return To Forever (1972年)



今回紹介する名盤はフュージョン創始者の一人とされるジャズバンドのアルバムです。

ジャンル

フュージョン
ジャズ

アメリカ

Chick Corea
Stanley Clarke
(Al Di Meola)
(Lenny White)

バンド

Return To Foreverは最初Chick Coreaのソロプロジェクトとしてスタートし、1972年に発表した「Return To Forever」の完成度の高さからChick CoreaとStanley Clarkeを中心に何度もメンバー変更を繰り返しながらもReturn To Foreverとして活動することになります。

Return To Foreverの歴史を大きく分けるとラテン系の初期とロック系の中期、大編成の後期と現在も活動するベテランバンドなんです。

初期作品の「Return To Forever」と「Light as a Feather」で当時としては革命的なラテンのリズムをジャズに取り入れて保守的なジャズファンから賛否両論出ましたが、この2作品は高く評価を受けてフュージョンを代表する名盤とされてバンドは大成功を収めます。

しかし、Return To Foreverの快進撃はこれで終わらず、黄金期はこの後にやってきたのです。
前任に代わりドラムにLenny Whiteが加入し、当時ほぼだった無名Al Di Meolaが加入し黄金期のReturn To Foreverが完成します。

Chick Coreaは世界を代表するジャズピアニストでMiles Davisが1969年に発表した歴史的名盤「Bitches Brew」のエレピを任されるほどです。

また日本を代表する世界的ジャズピアニスト上原ひろみと共作や共演したり、様々なアーティストと共演しています。

Stanley Clarkeは普通より高くチューニングしたテナーベースやピッコロベースもよく使用していて、ギターに近い奏法を得意とし、その演奏はリードベースと形容されるほどです。

因みにフュージョン御三家というのがありまして
「Return to Forever」
「The Mahavishnu Orchestra」
Weather Report」の3つのバンドをことを言います。

アルバム

本作はReturn to Foreverのデビュー作品で日本では「カモメのチック」の愛称で親しまれています。

世にいう黄金期のメンバーではありませんが本作のメンバーも凄腕ばかりでMiles DavisやWeather Report、Santanaの作品に参加し、フュージョンの名盤と多く関わるパーカッション奏者Airto Moreiraとその妻でシンガーのFlora PurimやThe Vanguard Jazz Orchestraでの演奏で注目を集めたフルート奏者Joe Farrellなど実力者揃いです。

1発目のタイトル曲「Return To Forever」ではプログレバンド顔負けの荒ぶるリズム隊だったり怪しげな空気感を漂わせるエレピと歌声、フルートは聴き応え抜群の1曲です。

また、ジャケットに写る景色のような爽やかな「What Game Shall We Play Today」も私は大好物です。

ジャズの堅苦しさから羽を広げ飛び立った名盤を是非。

関連記事
Return To Forever / Romantic Warrior 邦題 浪漫の騎士 (1976年)

What Game Shall We Play Today


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Penguin Cafe Orchestra / Music From The Penguin Cafe 邦題 ようこそペンギン・カフェへ (1976年)



今回紹介する名盤はパンクの伝説Sid Vicious「My Way」のストリングスを担当した音楽家ののアルバムです。

ジャンル

プログレッシブフォーク
フォーク
現代音楽

イギリス

Simon Jeffes



バンド

Penguin Cafe Orchestra(以下PCO)はSimon Jeffesを中心にBrian Enoが立ち上げたレーベルObscureから1976年に「Music From The Penguin Cafe」でデビューし、Obscureの最大の功績はPCOを発掘したことと言われるほどになります。

Simon Jeffesは南フランスに滞在していた時、不運にも腐った魚を食べてしまい食中毒になってしまい、そこでホテルのベッドで寝ている時に不思議な夢にうなされます。

翌日、頭の中に「Penguin Cafe」のオーナーが突然現れ、Simon Jeffesに話しかけます。
「人生におけるランダムな要素を大切にしよう。そうすれば創造性が失われずにすむ。Penguin Cafeはそんな場所なんだ」と…。

この何ともへんてこりんなエピソードがSimon Jeffesの背中を押してPCO結成となります。
PCOのアルバムジャケットにはほぼペンギン人間が描かれていて、その奇抜なデザインも話題になりました。

結成理由も摩訶不思議、ジャケットデザインも摩訶不思議ときたら当然音楽の方も摩訶不思議でクラシック、アンビエント、ジャズ、ミニマル、実験音楽、民族音楽、現代音楽など様々な音楽を混ぜ合わせた結果、異世界の音楽のようなユニークでオリジナリティ溢れる音世界なんです。

Simon JeffesはPCOで数多くの楽器を演奏していて、ギター、ピアノ、ベース、ドラム、シンセ、リンドラムなどに始まり、そろばんや金属の板、ゴムバンドなど楽器ではない物までも楽器として使用していました。

1997年にSimon Jeffesが脳腫瘍で亡くなってしまってから活動停止となっていましたが、2009年に実の息子であるArthur Jeffesが意思を受け継いで「Penguin Cafe」というバンドを始動させます。

アルバム

本作はPCOのデビュー作でいきなり完成された音世界を作り上げていてPCOの最高傑作として紹介されるほどです。

本作の当時のキャッチコピーは「室内環境弦楽奏団風クールミント不思議サウンド」と称されていて、このキャッチコピーでピンとこなくても本作を聴いたら「あ!本当だ」と思うくらい的を射ている上手い表現だと思います。

バイオリンやオーボエ、ヴィオラ、チェロ、ウクレレ、アコーディオンなどといった豊富なアコースティック楽器の音色がとても心地好いんです。

誤解を恐れずに言うと私はJoan of Arcの「Live in Chicago, 1999」や「The Gap」といった「ひねくれポップ風ポストロック」な作品に雰囲気が近い気がします。

もし、その2作品の のほほんとした感じが好きなら一聴の価値はあると思います。

ジャケットから奏でる音楽まで全てが奇妙かわいい名盤を是非。

The Sound Of Someone You Love Who's Going Away And It Doesn't Matter


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The Enid / Aerie Faerie Nonsense (1977年)



今回紹介する名盤はオーケストラ顔負けのプログレバンドのアルバムです。

ジャンル

シンフォニックロック
プログレッシブロック
アートロック

イギリス

Robert John Godfrey



バンド

The Enid結成する約5年前The Enidの中心人物Robert John GodfreyはイギリスのプログレバンドBarclay James Harvestでオーケストラ指揮者を担当していました。
そこで、さらにオーケストラサウンドに力を入れるべくRobert John Godfrey名義のソロ作品「Fall of Hyperion」を1974年に発表し、バンドでオーケストラを再現するかのようなサウンドは他にはない珍しい音楽でした。

それをさらに推し進めるためにRobert John Godfreyはバンドを立ち上げます。
それがThe Enidになります。

ロックの歴史を遡ると必ず黒人音楽に行き着きますがThe Enidの音楽を遡っても黒人音楽には行き着かず、クラシック音楽などの白人音楽に行き着くような気がします。

The Enidは一応プログレバンドとして紹介されることが多く、どのプログレバンドもほぼ黒人音楽の影響を受けていますがThe Enidは全く影響を受けていないように感じますし、そもそもロックなのか?とまで思えるほどの音世界です。

それを1番感じる理由はドラムの役割がリズムキープとしてではなく、ドドドドォ!やドォーン!と低音に迫力を持たせたり、シャーン!やシャンシャン!と華やかに高音を引き立たせたりといった音の色付けする役割を持っているんです。

私が1番凄いなと思うところは曲げない音楽性です。

The Enidが活動し始めた時期はちょうどパンク全盛期真っ只中でベテランプログレバンドやハードロックバンドは不遇の時期でした。
もっと言うと売れたいがために魂まで売ってしまったバンドも数多くいる中、The Enidはこのスタイルを貫いたことはただ事じゃないはずです。

アルバム

本作はそんなThe Enidの2枚目のアルバムでThe Enidの最も有名なアルバムだと思います。

よくストリングスを取り入れたロックアルバムがありますが、そんなレベルではなく本作はエレキギターやシンセなどロックバンドが使用する楽器でオーケストラをしたような音楽なのでプログレ作品を求めて本作を聴いたら、もしかしたら肩透かしを食らうかもしれないくらいシンフォニックロックの域を越える作品です。

どちらかというとプログレやシンフォニックロックより映画音楽やRPG系のゲームサントラのイメージに近いような気がします。

ロックバンドらしからぬ圧倒的構築美とロックサウンドとはまた違う大迫力を味わうことができます。

パンク旋風が吹き荒れる中、揺るがぬ信念を貫いて奏でられた孤高の名盤を是非。

Fand


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Sonny Clark / Cool Struttin' (1958年)



今回紹介する名盤は縁の下の力持ちなジャズピアニストのアルバムです。

ジャンル

ジャズ

アメリカ

Sonny Clark



アーティスト

Sonny Clarkは幼少期からピアノを始め、10代の頃にはピアノ以外にビブラフォンも演奏し、早くから楽器に触れていました。
20歳そこそこで早くも音楽活動を開始して1954年には女性ジャズシンガーの御三家の1人Billie Holidayのコンサートに参加します。

その後ブルーノートと契約し1957年に初のリーダー作「Dial "S" For Sonny」を発表し、勢い止まらず同年「Sonny Clark Trio」も発表します。

そして、翌年の1958年にSonny Clarkの代名詞的作品「Cool Struttin'」が発表され、本国アメリカよりむしろ日本で人気が爆発して当時の全てのジャズ喫茶で流れていたと言われるほどです。

Hank MobleyやLee Morgan、Dexter Gordon、Curtis Fuller、Johnny Griffin、John Jenkinsなどと共演し、多数の作品に参加してSonny Clarkはサイドマンとしてとても重宝されました。

そして、1960年に「Sonny Clark Trio」(1957年と同名の作品ですが別物)1961年に「Leapin' And Lopin'」をそれぞれ発表してジャズ黄金期を駆け抜けるようにして1963年ヘロインの過剰摂取が原因で31歳の若さで亡くなります。

日本でSonny Clarkを語る上で必ずと言っていいほど引き合いに出される「Cool Struttin'」ですが、当時のアメリカではあまり売れ行きがよくありませんでした。

そして、これまで毎年のようにリーダー作を発表していたのですがブルーノート創始者のAlfred LionはSonny Clarkの次作を発表させるのに躊躇して3年も空白が生まれてしまいました。

今ではBud Powell派を代表する1人でジャズ入門書などには必ず紹介されるほどのジャズピアニストです。

アルバム

Sonny Clarkは名サイドマンと言われるだけあって、リーダー作でも自分1人が目立とうとする演奏ではなくバンドで1つの音楽に仕上げていく演奏を心掛けているのかなと思います。

それは本作にも表れていて、私は「ジャズ 名盤」で調べて演奏者について何の前知識もなくアルバムを買い漁っていたので、本作を聴いた時Sonny Clarkという人はてっきりサックス奏者と勘違いしたほどピアノが前に出ていないように感じました。

ジャズを初めて聴こうと思ってる人には本作はとてもおすすめです。

というのは、Miles DavisやJohn ColtraneなどSonny Clarkより有名なジャズアーティストはたくさんいますが、ジャズを初めて聴いてみようと思って彼らを聴いたらアルバムによっては洗礼を受けてしまうかもしれないからです。

その点本作はジャズ初心者がイメージする真っ当なジャズなので気に入ってもらえるはずです。

ジャケットのイメージ通り気取って歩く高貴な女性のような洒落た名盤を是非。

Cool Struttin'


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