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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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The Velvet Underground / The Velvet Underground (1969年)



今回紹介する名盤は洋服のデザインなどでよく目にするAndy Warholとタッグを組んだことで有名なバンドのアルバムです。

ジャンル

アートロック
サイケデリックロック

アメリカ

Maureen Tucker
Sterling Morrison
Lou Reed
John Cale
(Nico)



バンド

The Velvet Undergroundは1996年にロックの殿堂入りを果たし、ローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティストにおいて第19位にランクインしているバンドです。

The Velvet Undergroundが本格的に活動していたのは、ほんの3、4年と短いのにも関わらず後の音楽界に多大な影響を与えています。

David Bowie、Sex Pistols、NirvanaSonic YouthYo La Tengoなどあげると切りがありません。
日本でいえばゆらゆら帝国とかですかね。

影響力を考えると表のThe Beatles、裏のThe Velvet Undergroundと言っても過言ではなく、ロックに芸術的な要素を取り入れたパイオニアです。

今でこそロック殿堂入りを果たすほどのバンドですが、当時は正当な評価を受けてはいませんでした。ロック界の芸術家The Velvet Undergroundは時代の先を行き過ぎていました。
ゴッホやカフカ、ゴーギャンなど生前は評価されていませんし、いつの時代も芸術家というものは活動している時には評価されないものです。

The Velvet Undergroundはデビュー前のライブでたまたま来ていたAndy Warholがえらく気に入り、プロデュースを買って出て製作されたアルバムが通称「バナナアルバム」です。
聴いたことはなくても見たことはある人は多いのではと思います。

しかし、売れ行きは芳しくなくAndy Warholはバンドから手を引きます。
その後も独特なポップセンスと前衛的かつ芸術性に長けたアルバムを発表し続けますが、資本主義の悪魔のせいで自分達の音楽が出来なくなり解散してしました。

アルバム

本作はAndy Warholの手から離れ、バンドが思い通りに製作出来るようになってから数えると2作品目になります。

色んな音楽雑誌にThe Velvet Underground=「バナナアルバム」みたいな風潮がありますが、果たして本当にバナナアルバムだけが名盤かと言われるとちょっと違うと思います。

17分にも及ぶノイズミュージック「Sister Ray」を中心とした即興演奏を収録した混沌のセカンドアルバム「White Light/White Heat」やライブの定番化していた「New Age」や「Sweet Jane」を収録した独特のポップさ全開のラストアルバム「Loaded」など名盤揃いなんです。

そして、これらの間に発表された本作は一般の聴衆を寄せ付けなかった「White Light/White Heat」の混沌性と実質的な最終作「Loaded」の独特のポップ性のバランスが絶妙で私的にThe Velvet Undergroundの最高傑作です。

芸術家The Velvet Undergroundが音で描いたポップアートな名盤を是非。

Candy Says


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Úlfur / White Mountain (2012年)


今回紹介する名盤はSigur Rósを影で支える人物のアルバムです。

ジャンル

アンビエント
ポストロック
ポストクラシカル
エレクトロニカ

アイスランド

Úlfur Hansson



アーティスト

ÚlfurはSigur RósのバックでSigur Rósのあの崇高な音楽を支えていました。
そこでSigur Rósの中心人物Jónsi Birgissonは「Úlfurの音楽にはインスパイアされる。そのサウンドスケープや想像力のセンスはこのアルバムを唯一無二のものにしている」と称するほどです。

Úlfurは2008年にKliveという名義で「Sweaty Psalms」というアルバムを発表し、2012年に発表したアルバム「White Mountain」では本名であるÚlfurに名義変更をして活動を続けています。
また、Swords of Chaosというバンドのメンバーとして活動もしていました。

Swords of Chaosではノイズ系、Klive名義ではアバンギャルドなエレクトロニカ系をそして、Úlfurではアンビエント系をというように様々な音楽を鳴らし続けています。

ÚlfurはAphex twinやFennesz、Oren Ambarchiなど前衛的な音楽家達の影響を受けています。

アルバム

本作はÚlfur Hanssonのソロ2作品目で前作Klive名義での作品「Sweaty Psalms」と比べてアンビエント的なアプローチです。

なので、私みたいにSigur Rós系の音楽を探して前作「Sweaty Psalms」を聴いたら面食らうかもしれませんが、本作だったら気に入るかもしれません。

Sigur Rósのような神々しさが減ってアンビエントさが高いですし、30分程で聴けるので気軽に聴けます。
バイオリンやヴィオラ、チェロ、サックス、ホルン、ウォータードラムなど様々な楽器を使用した壮大なサウンドを鳴らしています。

コンクリートジャングルに囲まれた日本で聴くと、ただの壮大な音楽で終わってしまうかもしれませんがÚlfur Hanssonの生まれ育ったルクセンブルクの町で本作を聴いたら美しい町並みや大自然とマッチして別世界に連れて行かれるような錯覚を起こすのではないかなと思います。

一匹狼が見た景色を鳴らした名盤を是非。

White Mountain


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Musette / datum (2009年)



今回紹介する名盤は北欧家具で有名なIKEAのCMの音楽を担当していたアーティストのアルバムです。

ジャンル

フォークアンビエント
フォーク
アンビエント
アコースティック

スウェーデン

Joel Danell



アーティスト

MusetteはJoel Danellのソロプロジェクトでアコーディオン、ピアノ、バイオリン、アコースティックギター、パーカッションなどの楽器に鳥のさえずりや口笛といった音を組合せドリーミーでノスタルジックな音世界を組み立てる音楽家なんです。

Joel Danellは家族の皆音楽が好きで幼い頃からたくさんの音楽にふれあい、その影響で友人と音楽活動を始めて2009年には「datum」を発表しました。
小気味良い「datum」は作曲からアレンジを全部一人でこなしました。

その後は2012年に50年代~60年代のカセットテープに命を吹き込んだ「Drape me in velvet」2015年にはより多種多様な楽器と音楽性をブレンドさせた「A Cosmic Serenade」をそれぞれ発表し、ゆったりとしたペースで作品を発表しています。

Musetteとは元々1800年代後期から1940年代にかけてフランスで親しまれていた民族音楽のことを言います。
Musetteの音楽はアナログシンセと生楽器を絶妙なバランスで組合せて織り成す音楽は春のやわらかい風のような幸福感と秋の枯れ葉を運ぶ風のような切なさの相反する感情が生まれます。

日本とスウェーデンの時間の流れが違うのかMusetteを聴くとのどかなひと時が流れます。

IKEAの音楽を担当していただけあって、日曜の朝にいつもより少しゆっくり起きて、コーヒーを淹れながらトーストとハムエッグを食べながら部屋の中でMusetteを流すとIKEAのCMのようなオシャレな雰囲気を味わえます。

南米ブラジルからほど遠いスウェーデン人の音楽ですがボサノヴァのような暖かさや緩さがあり、気持ちが落ち着き、いい意味であくびをしながら聴ける音楽です。

アルバム
本作はMusetteのデビュー作でJoel Danellが日記の代わりに日々の出来事を音楽で表現し、カセットテープに収めたデモ作品「carefully collected casette tapes」を元に全てのパートを再録音し直したのです。

なので、アルバムタイトル「datum」とはスウェーデン語で「日付」という意味でアルバムに収録されている曲名には録音された日付がつけられているので、私はスウェーデンのこの時期はこういう音楽の雰囲気なのかと想像しながら聴いています。

ピアノのミュートに毛布を使ったりといったアナログな録音とアコーディオンや口笛といったユルいサウンドで2009年に発表された作品なのにも関わらず、ものすごい懐かしさを感じます。

スウェーデンの音楽家がその日の気持ちを音に綴ったセンチメンタルな名盤を是非。

24 maj


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Orbital / Brown Album (1993年)



今回紹介する名盤は1990年代を代表するテクノ四天王の一人のアルバムです。

ジャンル

テクノ
エレクトロニカ
トランス
ブレイクビーツ

イギリス

Phil Hartnoll
Paul Hartnoll



アーティスト

OrbitalはHartnoll兄弟が組んだテクノバンドで1991年と1993年に「Orbital」を発表しました。
この2枚はジャケットの色で分けられ、1991年を「Green Album」1993年を「Brown Album」として分けられています。

この2枚のアルバムで一躍テクノ界を席巻し、UnderworldやThe Chemical Brothers、The Prodigyと並びテクノ四天王と呼ばれました。

また、日本のテクノ界の奇才 石野 卓球はAphex Twin「Ambient Works85-92」Hardfloor「TB Resuscitationorbital」Orbital「Brown Album」この3枚はテクノ三種の神器と称しました。

前作が圧倒的完成度だったため1994年に発表された「Snivilisation」はあまり評価されませんでした。

その後もドラムンベースに接近した「In Sides」原点回帰してファンを喜ばせた「The Middle of Nowhere」Orbitalの最高傑作にあげる人も多い「The Altogether」そして、これまでのOrbitalの軌跡を感じる「Blue Album」を発表した後に活動を一旦休止しました。

1995年に「Halcyon+on+on」が映画で使用されたのをきっかけにアルバム製作と平行して、「Event Horizon」「Octane」「Pusher」などの映画で音楽を担当したりもしました。

また、ゲーム好きな二人はゲームにも楽曲を提供したり、チャリティーアルバムに参加したりと様々な方面で活躍していました。

2009年に活動を再開するや否やあちこちのフェスで引っ張りだこになり、2012年に復活後初のアルバム「Wonky」を発表し、2014年に再度解散してしまいました。

アルバム
本作はテクノ三種の神器と称されOrbitalの最高傑作と言われるアルバムです。

Orbitalの代表曲が目白押しで美しさと力強さをあわせ持つ「Lush」映画でも使用され清涼感溢れる「Halcyon + On + On」といった名曲にも埋もれることのない他の曲のクオリティの高さに驚かされます。

1曲1曲のクオリティが高いだけでなくアルバム全体の流れや世界観の統一感が完璧過ぎて恐ろしく感じるほどです。

因みに「Halcyon + On + On」の女性の美しい声はOpus IIIのKirsty Hawkshawの歌声をサンプリングしたものです。

4つ打ちの気持ち良さとシンセの美しさが見事にマッチしたテクノサウンドの1つの完成形と言っても過言ではないと思います。

深く広がる電子音と気分の高揚するビートを掛け合わせた得も言えぬ麗しき名盤を是非。

Halcyon + On + On


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Barclay James Harvest / Time Honoured Ghosts 邦題 神話の中の亡霊 (1975年)



今回紹介する名盤はThe Enidの前身バンドのアルバムです。

ジャンル

プログレッシブロック
フォークロック
アートロック

イギリス

John Lees
Les Holroyd
Mel Pritchard
Stuart Wolstenholme
(Robert John Godfrey)



バンド

Barclay James Harvest(以下BJH)はJohn LeesとStuart Wolstenholmeが参加していたバンドThe Blues Keepers、Les HolroydとMel Pritchardが参加していたバンドThe Wickedsの2つが合併して出来たバンドになります。

BJHは後にThe Enidの中心人物Robert John Godfreyが指揮するオーケストラとロックを融合するサウンドを武器に活動を開始します。
1970年にセルフタイトル「Barclay James Harvest」でデビューし、翌年の1971年に「Once Again」と「And Other Short Stories」そして、1972年の「Baby James Harvest」といった4作品はオーケストラを大々的に取り入れた作品になります。

そして、1974年「Everyone Is Everybody Else」から以降オーケストラは影を潜め、代わりにシンセサイザーとキーボードによってオーケストレーションような神秘的な広がりあるサウンドを表現していきます。

BJHはとても器用なバンドでThe BeatlesThe BandCSN&YThe Eaglesのような牧歌的な雰囲気のバンドとGenesis、PINK FLOYDThe Moody Bluesのような掴みどころのない幻想的な雰囲気のバンド
の色を巧みに使い分けBJHの音世界へと昇華したいます。

というのも、中心人物であるJohn Leesがプログレ系を得意としていて、Les Holroydがロック系を得意という2人の影響でしょう。

後にJohn Lees' BJHとBJH featuring Les Holroydの2つのバンドに分裂します。
BJHはデビュー作以降ほとんどのアルバムのどこかに蝶のモチーフがあります。

アルバム
本作はBJHとしては中期に発表された作品でゴリゴリのプログレファンには退屈に感じるかもしれませんが、上質なフォークロックを聴けるので私のお気に入りの1枚なんです。

本作にはNeil Youngの「Harvest」を手掛けた敏腕プロデューサーElliot Mazerが担当したので、この秋っぽい哀愁あるフォークサウンドになったのでしょう。

勘のいい方は気付いたかもしれませんが「Titles」はThe BeatlesのオマージュでThe Beatlesの曲名を歌詞の中に散りばめているので何が歌われているか探しながら聴くのもおもしろいです。

プログレバンドと言われないと気付かないくらいポップセンスが高いのですが、ポップバンドでは出せないセピアがかったような淡いサウンドやイギリス特有の叙情的な深みあるメロディーを鳴らせるのはさすがです。

「長ったらしくてよく分からないからプログレは好きじゃない」っていう人も十分満足してもらえるプログレアルバムだと思います。

セピアがかった牧場をフワフワと飛びまわる蝶のような名盤を是非。

Titles


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