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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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The Wailers (Bob Marley) / Burnin' (1973年)



今回紹介する名盤はレゲエの神様達が最高にノリに乗っていた時期のアルバムです。

ジャンル

レゲエ
スカ

ジャマイカ

Bob Marley
Peter Tosh
Bunny Wailer
Aston "Family Man" Barrett
Carlton Barrett



バンド

Bob Marleyは白人の父(61歳)と黒人の母(18歳)の元に産まれ、白人の血と黒人の血が流れていることで難しい幼少期を過ごします。
そんな中10代から音楽活動を始め、ヒット曲を出すもレコード会社に売り上げの多くを徴収され、バンドの手元にはほとんど残らず自身のレーベルを立ち上げるも中々上手くいきません。

そんな時、後にレゲエを世界に知らしめた立役者Chris Blackwellと出会い1973年「Catch a Fire」で鮮烈なデビューをして、同年「Burnin'」の代表曲の1つ「I Shot the Sheriff」をギターの神様Eric Claptonがカバーし、Eric Claptonは初の全米1位を記録します。

その事で一躍スターダムにのし上がったのです。
たまに「音楽で世界を変える!」なんて非現実的なことを言っているミュージシャンを目にします。

私はそのたびに、そんなこと出来るわけ無いだろうに…と冷めたことを考えてしまいますが、唯一音楽で紛争などの争いを止めた人間がいます。
それがBob Marleyです。

1978年のジャマイカでは、政治的な紛争が絶え間なく起こっていました。
そんな時、彼は首相マイケル・マンリーとその反対党の党首エドワード・シーガを自身のコンサートに招いて、そのコンサートでBob Marley & The Wailersは最高の演奏と最高の唄で2人をもてなし、最後にこの敵対する党派の代表2人を舞台に上げ、互いに握手をさせ、平和を誓い紛争を止めました。

これは音楽史に残る伝説です。

70年代初頭にJohn Lennonは、やがてレゲエが世界を席捲するだろうと発言していたほどBob Marleyの存在、影響力は大きかったと言えます。
レゲエの活躍にはJohn Lennonに始まりThe ClashThe Police、Eric Claptonなど様々なアーティストが注目していました。

アルバム

本作はデビューアルバム「Catch a Fire」で世界的に大成功してたたみかけるようにわずか半年という短い期間で発表されました。

半年という短い期間でしたが、「Get Up, Stand Up」や「I Shot the Sheriff」などバンドの代表曲目白押しになっています。
ローリングストーン誌が選ぶオールタイムベストアルバム500では319位にランクインしています。
また、本作でPeter ToshとBunny Wailerは脱退してしまうので、以降の作品はいわばBob Marleyのソロ作品みたいな感じになるのでThe Wailersというバンドでのラストアルバムと言っても過言ではありません。

なので、Peter ToshとBunny Wailerがリードボーカルをしている曲もあり、本作で私はゆったりと流れるPeter Toshの「One Foundation」が1番好みです。

音楽界に天変地異を起こしたThe Wailersの珠玉の名盤を是非。

Get Up, Stand Up


関連記事
Bob Marley & The Wailers / Live ! (1975年)


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Brian Eno / Another Green World (1975年)



今回紹介する名盤は聴かない音楽アンビエントという音楽ジャンルを確立させたアーティストのアルバムです。

ジャンル

アンビエント
ミニマルミュージック
ニューエイジ
現代音楽

イギリス

Brian Peter George Eno



アーティスト

日本人にとってBrian Enoほど知名度と楽曲が聴かれている差の大きいアーティストもいないでしょう。
というのも、マイクロソフトの「Windows 95」の起動音は彼が作曲しました。
この時のマイクロソフトから出された条件は「人を鼓舞し、世界中の人に愛され、明るく斬新で、感情を揺さぶられ、情熱をかきたてられるような曲を御願い致します。ただし、長さは3秒コンマ25ね。」でした。

もういくらなんでも無理難題です。
これにはBrian Enoもだいぶ頭を悩まして、最終的に84個のとても短いフレーズが作曲され、その中の一つが使われています。

因みにBrian Enoと親交深い、盟友King CrimsonのRobert Frippは「Windows Vista」の起動音を担当しています。

またDavid BowieやTalking HeadsU2などをプロデュースして高評価を受けました。

今でこそアンビエントの先駆者や敏腕プロデューサーというイメージですが、デビュー当時は奇抜なファッションでグラムロックをしていたり、後のグランジやオルタナ、ニューウェーヴの布石とも取れる音楽を鳴らしていました。

そして、Brian Enoを語る上で無視できないアルバム「Ambient 1: Music for Airports」の聴き方は「聴こうとせずに聴き流す」です。
そもそもアンビエントというジャンルは鑑賞用ではなくインテリアになりうる音楽だそうです。

なんで「聴かない音楽」という矛盾とも取れる音楽が生まれたかと言いますと、Brian Enoが交通事故に遭い入院生活の中でレコードの音量のコントロールや停止させたり出来なかったという体験から「聴くことも出来るし、聴かないこともまた容易い音楽」という新しい音楽の関わり方が生まれたのです。

アルバム

本作はこれまでロックバンドとして音楽を鳴らしていたBrian Enoがアンビエントへ急接近した記念碑的な作品になります。
まず、何が凄いって本作に関わった豪華なゲストでKing CrimsonのRobert FrippやIan McDonaldを始めGenesisのPhil Collins、The Velvet UndergroundのJohn Cale、The WhoのPete Townshend、Soft MachineのRobert Wyattなどといった最早音楽界のオールスターと言っても過言ではないでしょう。

Brian Enoがアンビエントへとシフトする丁度間の作品なので、何とも妖しいバランスで組み立てられた曲が絶妙な世界観を構築していて、私は一度聴いただけではその凄味の全貌は捉えられませんでした。

また、なぜかその凄味に気付いてからはどの曲にも何とも言えない恐怖感を覚えるようになりました。

奇才達の個性が衝突しまくって生まれた世にも奇妙な名盤を是非。

Another Green World


関連記事
Brian Eno / Ambient 1: Music for Airports (1978年)

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Balmorhea / All is Wild, All is Silent (2009年)



今回紹介する名盤はポストロックとポストクラシカルの良いとこ取りなバンドのアルバムです。

ジャンル

ポストロック
ポストクラシカル

アメリカ

Rob Lowe
Michael Muller



バンド

BalmorheaはRob LoweとMichael Mullerの2人が中心となり2006年に結成し、2007年にセルフタイトル「Balmorhea」を発表し、フィールドレコーディングの持つ開放感と室内楽的なピアノとアコギのメロディーという一見ミスマッチとも思える音世界で注目を集めます。

そして、2008年にはより洗練された
フィールドレコーディングとアコギ、ピアノ演奏でBalmorheaの最高傑作と言える「Rivers Arms」を発表しました。

2009年にはバンジョーとドラムという新たな楽器を取り入れバンド編成へと昇華した「All is Wild, All is Silent」2010年にはポストクラシカル色が強く出た「Constellations」2011年には集大成と言えるライブアルバム「Live at Sint-Elisabethkerk」2012年にはヴィブラフォン、ウクレレ、スティールパンなど多種多様な楽器を取り入れた「Stranger」など駆け抜けるように作品を発表してきました。

そして、5年の沈黙を破り2017年に発表した「Clear Language」は原点に戻り2人編成での作品になりました。
また、2018年に最新作「Clear Language: Reworked」が昨日発表されました。

因みにRob LoweはRG Lowe名義で「Slow Time」という作品を発表しています。

アルバム

本作は前作までの室内楽的でアコースティックなサウンドからシフトして、バンドサウンドとなり音の厚みを出しました。

前作「Rivers Arms」の系統を期待して本作を聴くと少し戸惑う人もいるかもしれませんが、前作のアコースティックなオーケストラサウンドとバンドサウンドが絶妙なバランスでまとめられた作品です。

TortoiseGoldmuntを掛け合わせたようないい感じにポストロックでいい感じにポストクラシカルな名盤を是非。

Settler


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IQ / Frequency (2009年)



今回紹介する名盤は私が1番大好きなバンドFrost*のリズム隊が在籍していたバンドのアルバムです。

ジャンル

ネオプログレッシブロック
プログレッシブロック
シンフォニックロック

イギリス

Mike Holmes
Tim Esau
Peter Nicholls
Paul Cook
Neil Durant
(John Jowitt)
(Andy Edwards)



バンド

IQはYesやGenesisといった1970年代のプログレッシブロック黄金期の魂を継承するバンドでMarillionやPendragon、Twelfth Night、Pallas、Quasar、LaHost、Solsticeなどと同じく1980年代に起こったネオプログレッシブロック(ポンプロック)ムーブメントの波に乗り1983年の「Tales from the Lush Attic」でデビューしました。

しかし、一部では1970年代のGenesisのモノマネ過ぎてオリジナリティが薄いという批判的な意見もありました。
実際「Tales from the Lush Attic」や次作1985年発表の「The Wake」はかなりGenesisのサウンドを彷彿させます。

しかし、1993年発表の「Ever」以降くらいからGenesisのシンフォニック性を上手いこと抽出しつつ、新しい時代の感性を取り入れオリジナリティが出してきます。

同年にEverのライブツアーを収録した「Forever Live」を発表するほどとなり、ネオプログレッシブロック界の雄と言われるまでになりますが、そこで甘んじることなく、前作の「Ever」で自分達の音楽を確固たるものにしてから4年もの歳月が過ぎた1997年に発表した「Subterranea」はなんと100分を越える超大作でした。

そして、2004年には最高傑作との呼び声高い「Dark Matter」を発表し、2009年には二人のメンバーが入れ替わった意欲作「Frequency」2014年には重厚でダークな最新作「The Road Of Bones」を発表する30年以上のベテランバンドですが、未だに定期的に作品を発表しています。

冒頭で述べた通りFrost*のリズム隊が二人在籍していたので、IQファンはFrost*がFrost*ファンはIQが琴線に触れるはずです。

他にはMoon SafariやJohn Mitchell加入後のIt BitesKinoFredde GreddeなどはIQの音世界に雰囲気が似ているので聴いてみる価値はあるかと思います。

アルバム

本作はドラムのPaul CookとキーボードのMartin Orfordが脱退し、Andy EdwardsとMark Westworthを迎えてメンバーが2人も代わってIQのサウンドが変わってしまってないかなと一抹の不安を覚えて聴きましたが、ちゃんとシンフォニックなプログレでIQ節健在でした。

本作のタイトル「Frequency」は直訳で「周波数」になります。
そして、ブックレットに「・・ --・-」こんな文字が書いてありますが、これはモールス信号でIQと書いてあります。
1曲目「Frequency」のピーピピーピというモールス信号で静かに物語が始まり、ピアノやオルガン、シンセといった楽器で雰囲気抜群です。

ジャケット、ブックレット、イントロ全てが「Frequency 周波数」にまとめられているコンセプト性にはこだわりを感じます。

プログレの叙情性を受け継ぎ、昇華された音の周波数が収められた名盤を是非。

Life Support


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Moodymann / Silent Introduction (1997年)



今回紹介する名盤はTheo Parrishと同様にデトロイトのアンダーグラウンドから現れたバイナリーDJのアルバムです。

ジャンル

ハウス
ディープハウス
テクノ

アメリカ

Kenny Dixon Jr.



アーティスト

Moodymannは元々レコード店の店員さんだったのですが、ひょんなことからCarl Craigが運営するPlanet Eというレコード会社から1997年に「Silent Introduction」を発表してアンダーグラウンドの聴衆から支持を集めます。

そして、1998年にはPeacefrog LabelからMahoganyシリーズ第一弾として「Mahogany Brown」を発表し、2000年にはソウルやファンクなどブラックミュージックを凝縮した「Forevernevermore」など定期的に作品を発表してアンダーグラウンドの音楽ファンから圧倒的支持を集めていました。

また、2014年にはAndresやJose James、Fiddler brothersといったゲストを迎えて製作されたセルフタイトルの意欲作「Moodymann」や2015年にはDJミックスシリーズ 「DJ Kicks」を発表し、話題になりました。

世間はどんどんお手軽なデジタルに移行しつつありますが、MoodymannはデビューからアナログでDJすることを貫いており、未だにレコードで作品を発表し続ける姿勢は一つの美学と言えるでしょう。

因みに日本でテクノを広めた第一人者 野田努も絶賛していました。
洋楽だからとか邦楽だからとか、日本人だからとか外国人だからとか言うのは好きではないですが、白人の鳴らす音楽は何とも言えない美しさで、黒人の鳴らす音楽は得も言えぬセクシーさがあると思うんです。

もちろんMoodymannも例に漏れず、ブリブリのグルーヴ感や艶かしいアダルト感があり、この感性は黒人ならではの武器かなと思います。

アルバム

本作はそんなMoodymann a.k.a KDJのデビュー作になります。
この2010年代はたくさんのEDMアーティストが出てきましたが、なかなかビビッとくるアーティストに出会えませんでした。

というのも、どうも「4つ打ちやっとけば大丈夫!」みたいな安易に4つ打ちを乱れ打つアーティストが多く感じてしまって、4つ打ちは確かに気持ちいいんですが、ライブとかで聴いているとどうも一本調子な感じがしてしまいイマイチ乗れないということが多々ありました。

しかし、Moodymannの鳴らす真っ黒な音楽はユニークなサウンドコラージュとファンキーなビートで聴き入ってしまいます。

ジャケットのアフロとサングラスの男を見ただけで只者じゃ無い感がビンビン伝わるはずです。

不機嫌な男Moodymannが鳴らすほどよくジャジーで最高にファンキーな漆黒のハウスの名盤を是非。

M Traxx


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