今回紹介する名盤はテクノミュージックの発展に多大な貢献をしたアーティストのアルバムです。
ジャンル
クラウトロック
アンビエント
ミニマルミュージック
テクノ
ドイツ
Manuel Göttsching
アーティスト
Manuel Göttschingは10代からクラウトロックの代表的なバンドと言われるAsh Ra Tempelの中心人物として頭角を表していました。
初期のAsh Ra Tempelは
PINK FLOYDのようなスペーシーなサイケデリックロックでしたが、後期にはまだ世界にテクノと言われる音楽がなかった時代にテクノの原形のようなサウンドを鳴らしていました。
Manuel Göttschingはいつも時代の1歩先を歩いていたのです。
しかし、世間は彼の音楽センスに着いていけず正当に評価されませんでした。
というのも、Manuel Göttschingの代表作「E2-E4」は1981年にレコーディングしたものの、あまりに先進的過ぎてお蔵入りになりました。
そして、時間が約3年過ぎてようやく1984年に発表まで漕ぎ着けました。
ところが、待っていた評価は「こんなもの音楽とは言えない」「あまりに展開のない駄作だ」などの酷評ばかりでした。
80年代前半の世間の聴衆にはまだ、ミニマルミュージックやテクノ、エレクトロニカなどの音楽は存在しなかったので「E2-E4」という存在は当時、オーパーツともいえるものだったのです。
さらに時間を進めて1989年にSueño Latinoを始めとする様々なDJにサンプリングされて脚光を浴び、ついに時代が追いついてきたのでした。
イージーリスニングやアンビエント、ニューエイジ界に多大な影響を与えたギタリストでもありますが、同時にテクノやハウスの創始者として後の音楽界に多大な影響を与えました。
2006年と2008年には日本のエレクトロニック ダンス ミュージックフェスティバル「METAMORPHOSE」に参加し来日もしました。
アルバム
本作はテクノミュージックの発展に大きく関わった超重要なアルバムです。
シングルでもカップリングとか合わせると少なくとも2曲はあるのに、本作に収録されている曲はたったの1曲なんです。
約1時間の「E2-E4」が1曲のみ。
旨いラーメン屋のメニューに「ラーメン」しかないような姿勢に好感を持ちます。
しかも、シンセとリズムマシンの打ち込みを流しながら、Manuel Göttschingのサイケ的なギターは一発録りなのです。
ジャケットとE2-E4というタイトルを見ると勘のいい人ならわかるかもしれませんが、本作のコンセプトは「チェス」なんです。
また、当時話題になっていた「コンピューターチェス同士のエンドレス対戦」を音楽で表現するというものでした。
徐々に音の数が増えていき、少しずつ盛り上がりグラデーションのような曲展開、後半のサイケギターは唯一無二です。
現在、特に日本人はAメロ-Bメロ-サビという流れがないと聴くに堪えないという人が多いかと思いますが、音楽の歴史を遡るとメロディー何てものはなく、手拍子や打楽器を鳴らしながら歌うだけです。
そう考えると音楽の本質にとても近い音楽なのではないでしょうか。
音の予言者が誰に理解される訳でもなく、独りで作り上げたオーパーツ的名盤を是非。
E2-E4
Manuel Gottsching Spalax 2001-02-27
[1回]
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