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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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Mats/Morgan Band / Thanks for Flying with Us (2005年)



今回紹介する名盤はFrank Zappa学校卒業生の2人組バンドのアルバムです。

ジャンル

プログレッシブロック
ジャズロック
フリージャズ

スウェーデン

Morgan Ågren
Mats Öberg



バンド

Mats/Morgan Bandはスペーシーな音色でユニークなメロディーを、全盲ということを疑うくらいの勢いでかき鳴らすキーボードMats Öbergと、10代ですでに完成されていた幾何学的な変拍子を怒濤の手数で叩きまくるドラムMorgan Ågrenの幼馴染み二人組が中心となったバンドになります。

世界の数ある変態バンドの中でも、かなりレベルの高い技術力を持っています。

スタジオアルバムに負けないくらいライブアルバムを出すほどのライブバンドで、スタジオアルバムはコミカルなメロディーをサラッと弾きこなすキーボードがキラリと光りますが、ライブアルバムになると鬼のような暴れまくるドラムに聴き惚れます。

音源だけじゃ何がどうなってるのかが全くわかりませんが、ライブ映像を見てもやっぱり何がどうなってるのかわからないくらい凄まじい演奏なんです。

彼らを有名にしたのは他でもない2人が敬愛するFrank Zappaでしょう。
10代そこそこでFrank Zappaの完コピをやってのけ、Frank Zappaがその演奏技術を絶賛したといいます。

そして、1993年にFrank Zappaが発表した「Zappa Univers」に参加し一躍注目を集め、1996年にMats/Morgan Bandとして「Trends and Other Diseases」を発表し、様々な超絶技巧の名手達を迎えながら現在まで活動しています。

因みにその名手達の中にはMorgan Ågrenの弟Jimmy Ågrenやテルミン奏者、スプーン奏者など一筋縄ではいかない編成の時もあります。

自分で書いといて意味不明ですが、King Crimsonの演奏技術とFrank Zappaの変態センスを未来的に解釈したような音楽です。


アルバム
本作は数々のライブなどで脂の乗ったMats/Morgan Bandの3枚目のスタジオアルバムになります。

相変わらず変態度合いは健在で1枚のアルバムの中で縦横無尽にジャンルの垣根を行き来する様は聴いていて楽しいです。

もっと言うと1曲の間でジャズやプログレ、エレクトロニカ、ポストロックなど目まぐるしく移り変わるのにも関わらず、ひとつの音楽として完成されているから驚かされます。

独特の浮遊感を作り出す自由奔放なメロディーに、緻密に計算されためちゃめちゃな変拍子に聴くものをトリップさせてしまいます。

玄人集団が精巧に考え抜かれた音楽を好き勝手演奏して出来上がった人懐っこい名盤を是非。

Sinus


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Frost* / Experiments in Mass Appeal (2008年)



今回紹介する名盤は私の1番好きなバンドのアルバムです。

ジャンル

ネオ プログレッシブロック
プログレッシブロック

イギリス

Jem Godfrey
John Mitchell
John Jowitt
Andy Edwards 
John Boyes


バンド

Frost*は美メロ職人のJem Godfreyが「プログレバンドするから、一緒にしようよ」で始まったバンドです。

こんな軽いノリで始まったのに集まったメンバーは超一流奏者ばかりでギタボにはArena,The Urbane,KinoIt Bitesで活躍中のJohn Mitchell
ベースにはArena,IQ,Jadisで活躍中のJohn Jowitt
ドラムスにはThe Wikkamen,Priory of Brion,IQ,Ian Parker Bandで活躍中のAndy Edwards
そしてFreeFallで活動していたギターのJohn Boyesが集まったスーパーグループです。

現在はJem GodfreyとJohn Mitchellの2人しかオリジナルメンバーはいません。

2006年に圧倒的完成度のアルバム「Milliontown」でデビューし、その後すぐに活動を休止してしまいますが、2008年に再活動し「Experiments in Mass Appeal」を発表します。

2010年に「The Philadelphia Experiment」2013年には「The Rockfield Files」と2枚ライブアルバムを発表します。

そして、ついに2016年5月27日に待望の新作スタジオアルバム「Falling Satellites」を発表しました。

アルバムによってはスタジオの製作風景やスタジオライブ映像までついてある物もあり、その様子を観ているとメンバー全員が楽しんでいて、かなりアットホームな感じで、観ているこっちまで楽しくなってきます。

そして、なんといっても一番楽しんでいるのは中心メンバーのJem GodfreyとJohn Mitchellの二人です。

70年代に生まれたプログレはここに来てまた進化をしたのです。
バンドの簡単なイメージとしてはYesの進化形的なバンドです。

アルバム

本作は前作の「Milliontown」より聴きやすいかと思います。
というのは1曲の時間が短くなっていてプログレ感は少し減った気がするからです。

特に「Toys」は最高にキャッチーで突き抜けるほどの清涼感と疾走感があります。
プログレ感が無いのかとガッカリすることなかれ、ゴリゴリのプログレではありませんが最後には15分を越える大曲「Wonderland」が待っています。

「Wonderland」の私なりの好きな聴き方を紹介します。
非現実的なほど美しいメロディーを聴きながら最後はフェードアウトするんですけど、電車で揺られながら聴いているとゆっくり現実に戻される感じが最高に気持ちいいんです。

プログレとか関係なく、ただただ美しい歌声とシンセのメロディーは人を選ばないと思います。

イギリスの美メロ職人達が楽しみながらプログレをさらに昇華させた名盤を是非。

関連記事
FROST* / MILLION TOWN (2006年)

Toys


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Neu! /Neu! (1972年)


今回紹介する名盤はドイツバンドでトップクラスの知名度を誇るバンドのアルバムです。

ジャンル

クラウトロック
プログレッシブロック

ドイツ

Klaus Dinger
Michael Rother


バンド

私がNeu!を聴こうと思った切っ掛けは日本を代表するロックバンド「ゆらゆら帝国」が2003年に発表した「ゆらゆら帝国のしびれ(以下 しびれ)」を聴いたからなのです。
なぜ「しびれ」を聴いたらNeu!を聴こうと思うかと言いますと、「しびれ」の最後を締めくくる大曲「無い‼」にハマったからです。

勘のいい方ならお気付きかと思いますが、Neu!を日本語の発音ではノイ!になります。
ゆらゆら帝国「無い‼」は「Neu!」のオマージュ的楽曲でNeu!の代表曲「Hallogallo」様な淡々と流れ広がる感じが最高に気持ちいいんです。

Neu!はKraftwerkの元メンバー二人を中心に結成されたバンドで「Neu」とは新しいという意味があるそうです。
バンド名通りに新しい音楽を生み出そうとしていた二人が1972年に発表した「Neu! 」は当時ではオーパーツ的音楽で商業的には失敗に終わりましたが、時代が進むにつれてDavid BowieやSex Pistols、Brian EnoRadioheadSonic Youth、Stereolabなど多種多様なアーティスト達に影響を与えました。

そして、1973年に発表した「Neu! 2」では前作が振るわなかったために制作費が途中で尽きてしまい半分の曲しか録音出来ませんでしたが、Neu!は断念せずに頭を使い、後の音楽界を変える発明をしました。

それはすでに録音してある曲の回転数を変えたり、音を歪ませたりした曲でかさ増しをしたのです。
それが現在のリミックスの1つのアイデアとして先駆的な試みと評価されたのでした。

Neu!の代名詞といえば無機質でまるで機械が鳴らしているような正確な8つ打ちのリズム、これはハンマービートと言われ数多くのアーティストに影響を与えました。

そのKlaus Dingerのハンマービートに乗せて流れる形の無い漂うMichael Rotherのギターが最高に気持ちよくて陶酔出来ます。

アルバム

本作はそのオーパーツ的作品にあたるNeu!のデビューアルバムになります。

本作が発表された当時の人気作品といえば
Deep Purple「Machine Head」
Stevie Wonder「Talking Book」
The Rolling Stones「Exile on Main St.」
Yes「Close to the Edge」
Neil Young「Harvest」など思い付くだけでもこれだけあります。

こういう音楽が人気な中でNeu!の音楽はあまりにもかけ離れた曲調だったために理解されずに埋もれてしまったんだと思います。

聴く人によると非常に退屈な音楽と思う人もいるのは納得してしまいますが、一度「Hallogallo」の心地好さに気付いてしまうともう抜け出せなくなるくらいの中毒性があります。

あまりのジャンルレスさに当時の人達はこの作品のジャンル分けに頭を悩ませただろうと思います。

40年以上も前の音楽とは思えない当時は見向きもされなかったオーパーツ的な名盤を是非。

Hallogallo


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Emerson, Lake & Palmer / Tarkus (1971年)




今回紹介する名盤はプログレ界を代表するギターレスバンドです。

ジャンル

プログレッシブロック

イギリス

Keith Emerson
Greg Lake
Carl Palmer


バンド

Emerson, Lake & Palmer(以下 ELP)はジャズ、ロック、クラシックに影響を受けた重厚なキーボードをを奏でるKeith Emersonとプログレ帝王King Crimsonで活躍し、後にAisaでも活躍するベーシストGreg Lake、そしてローリングストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマーで10位にランクインするドラムCarl Palmerのスリーピースバンドです。

King Crimson、PINK FLOYDYes、ELPこれらを俗にプログレ四天王と呼びます。

まずELPを聴いて思うのは本当にスリーピースバンドなのか?と疑いたくなるほど分厚くテクニカルな音が鼓膜に届けられ驚き、ギターが無いのにヘビーでハードなサウンドでまた驚きます。

Keith Emersonは元々The Niceというバンドで活動していたのですが、このバンドでは本来の力が発揮出来ないと感じ、新たにキーボードトリオというギタリストのいないバンドを結成しようと考えていました。
そんな時にGreg Lakeと出会い意気投合し、2人で新しいバンドに必要なドラムを探していたところ、Atomic Roosterで活躍していたCarl Palmerを引き抜きELPが誕生します。

結成してから4ヶ月かそこらで音源も出していないにもかかわらず1970年に開催された世界最大級のフェス「ワイト島フェスティバル」に出演しました。
クラシックやジャズを思わせる音楽にステージ上のパフォーマンスは非常にアグレッシブです。

キーボードにナイフを突き刺して音を出し続けたり、揺らしたり、倒したりしてフィードバックノイズを出していてその辺のロックバンド顔負けのアクションでした。

そして、何より驚いたのは「ピアノ縦回転演奏」です。



これは驚きを通り越して笑ってしまいました。
天才の考えることは分かりません。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第一部に登場するタルカスの元ネタです。

アルバム

本作はELPの2枚目のアルバムで1971年発表のライブアルバム「Pictures at an Exhibition 邦題 展覧会の絵」や1973年に発表された「Brain Salad Surgery 邦題 恐怖の頭脳改革」と並んで最高傑作とされています。

Tarkusとはどういう意味か。

結論から言いますと意味は無くて、Keith Emersonが突然思い付いたジャケットに描かれている空想上の怪物なのです。

特撮とかに出てきそうなデザインに加え、「火山の中から姿を現し、地上の全てを破壊しまくり(火山に帰るのではなく)海に帰っていく」というこれまた特撮にありそうなストーリーがコンセプトになっています。

本作は吉松 隆の手によってオーケストラバージョンに編曲もされていて2012年にはNHK大河ドラマ「平清盛」で使用されたので知らずのうちに聴いているかもしれません。

プログレ三銃士が想像した怪物タルカスが暴れまわる世界を音で創造した名盤を是非。

Tarkus


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Sleeping People / Sleeping People (2005年)



今回紹介する名盤は80年代King Crimsonの復活かと思わせられる正統派マスロックバンドのアルバムです。

ジャンル

マスロック
ポストロック
プログレッシブロック

アメリカ

Kasey Boekholt
Joileah Concepcion
Brandon Relf
Kenseth Thibideau


バンド

Sleeping Peopleは元々ギター2人とドラムの3ピースバンドで始まりましたが、ベースのKenseth Thibideauがメンバーに加わりギター2人にベースとドラムというオーソドックスなバンドスタイルで活動していきます。

現在Dirty ProjectorsのギタリストAmber Coffmanも途中参加していましたが、基本この4人で圧倒的実力に裏付けされた緊張感溢れる嵐のような変拍子インストロックを鳴らしまくっています。
そのバンド姿は「人力ミニマルミュージック」と評されるほどです。

因みに本ブログで紹介した「人力テクノ」と評されるBattlesや「人力エレクトロニカ」と評されるHoly Fuckが好きならばSleeping Peopleも琴線に触れるかもしれません。

BattlesやTera Melosと同じく80年代King CrimsonのDNAが脈々と流れている感じです。

Sleeping People直訳すると「眠る人々」となりますがこのバンドの音を聴きながら眠ることはできないと思います。
Sleeping Peopleというバンド名の由来はというと、Jimi Hendrixがインタビューで答えた「そこには眠っている人がたくさんいるんだ」から来ているらしいです。

Sleeping Peopleが2005年に発表したデビュー作の「Sleeping People」では一貫してインストロックでしたが、2007年に発表した「Growing」ではボーカルをUSインディーロックのキーパーソン的バンドPinbackのRob Crowが担当しています。

来日した際にはtoeに始まりLITE、Monoeyes、Envyといった日本きっての実力派バンドが参加しています。

アルバム

日本では2007年に発表された「Growing」がデビュー作ですが、本来は本作のセルフタイトル「Sleeping People」がデビュー作となります。

日本では本作は輸入盤しかなかったのにもかかわらず売り上げは上々でした。
正確無比に刻まれる怒濤の変拍子サウンドは若手バンドとは思えない演奏技術と思う反面、ベテランバンドでは出せないエネルギーを感じます。

この攻撃的で鋭く尖ったギターを演奏しているのは女性なのです。

正確に計算尽くされた機械的なリズムで構築された音世界は造形美を感じます。

攻撃の手を一切緩めない攻めの姿勢、駆け抜ける変拍子名盤を是非。
Nasty Portion

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