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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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Paatos / Kallocain (2004年)



今回紹介する名盤は北欧の鬱系プログレバンド元LANDBERKのReine FiskeとStefan Dimleが在籍していたバンドのアルバムです。

ジャンル

プログレッシブロック
アートロック

スウェーデン

Petronella Nettermalm
Peter Nylander
Huxflux Nettermalm
Ulf Ivarsson


バンド

プログレと紹介してしまうと物足りない方がいるかもしれませんがPaatosはジャズを基盤に展開される芸術的なロックサウンドにのせて絶望を歌う感じです。
PaatosはMassive AttackやPortisheadといったプログレッシブロック系ではないバンドから影響を受けているので、テクニック重視のプログレバンドとは違い、バンドの持つ空気感や世界観といったところに重きを置いているバンドであります。

そして、Paatosの最大の特徴はなんといっても女性ボーカルをフューチャーしているところでしょう。
とあるフォークロックのフェスでPetronella Nettermalmの消え入りそうなウィスパーボイスがPaatosの世界観に凄く相性と思いメンバーに入れました。

上質な女性ボーカルのバンドってとても貴重な存在だと思います。
儚く混沌とした暗黒世界のような音なのですが、北欧の持つ美しさが心地好いんです。

狂暴性の無い初期らへんのKing Crimsonのようなメロトロンが漂う感じが幻想的な世界観に拍車をかけます。

2001年に「Perception/Tea (EP)」でデビューして翌年の2002年には「Timeloss」を発表し、2004年に発表された「Kallocain」ではPorcupine TreeのSteven Wilsonがミックスを担当しています。

2006年に「Silence of Another Kind」を発表し、2008年には待望のライブアルバム「Sensors」を発表しました。
2011年に「Breathing」2012年に「V」を発表してから3年が過ぎているので、そろそろ新作が期待できるバンドです。


アルバム

本作はそんなPaatosの最高傑作と名高いアルバムで上記した通りPorcupine TreeのSteven Wilsonがミックスを担当した作品になります。

前作の「Timeloss」よりさらにプログレ感は落ちましたが、逆に芸術的な面ではより深まった気がします。
なので、とても聴きやすくPaatos入門にも最適かと思います。

まず、ジャケットに写し出されている色を持たない廃墟と一発目に流れてくる「Gasoline」のチェロの憂いを帯びた旋律でこの作品がただ者ではないことがわかります。

そして、20代の小娘では出せない大人の色気ある耽美な歌声に酔いしれることでしょう。

暗黒世界のようなダークなメロディーなのに聴き終えた感想は美しいと呟いてしまう名盤を是非。

Gasoline


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MAGMA / Live (1975年)



今回紹介する名盤はあまりに独自性があり過ぎたためZeuhl系という新しい音楽ジャンルを作った孤高のバンドのアルバムです。

ジャンル

プログレッシブロック
ズール
アートロック
ジャズロック

フランス

Christian Vander


バンド

MAGMAの中心人物Christian Vanderは幼少の頃からジャズなどの音楽をよく聴いていて13歳の頃からドラムを始め、17歳の時にはバンド活動を始めていました。

しかし、1967年に敬愛するジャズサックス奏者John Coltraneが亡くなったショックでイタリアを放浪しながら様々なバンドとセッションしていました。

ある時突然「John Coltraneの仕事は未だ道半ばであり、誰かがそれをやり遂げなくてはならない。今度は私の番だ」という啓示を受け再起します。
そして、フランスに戻りJohn Coltraneの意思を受け継ぎ自らが行うべき新たなる音楽活動を模索してMAGMAというバンドが誕生します。

MAGMAの特徴はなんといっても宇宙からきたコバイア星人の言語「コバイア語」というChristian Vanderが作り出した架空の言語でしょう。

ここまでだと、そこら辺にいる「おバカアイドル」と何ら変わりませんが、これがオペラ的なボーカルとギターやキーボードより前に出る個性的で強靭なリズム隊、そして分厚く呪術的で悪魔染みた男女のコーラスといった音楽になった瞬間に物凄いエネルギーを秘めたバンドサウンドになるんです。

このサウンドはZeuhlと言われMAGMAはZeuhl創始者とされています。
そんな複雑で凄まじい音楽も少しずつ減っていき、ファンクやソウルに接近していきます。

そして、1985年に発表された「Merci」ではコバイア語を使わないところまでいき、その直後に解散してしまいます。

因みにジョジョの冒険 第三部でダービーにコインにされていた中にChristian Vanderという文字があります。

アルバム

本作はMAGMAの最強の布陣の時の最高のライブを収めたライブアルバムになっています。

本作には今やフランスの伝説的バイオリニストとなっているDidier Lockwoodが演奏しているのですが、この時まだ10代なんです。
未成年とは思えない堂々とした演奏をしています。
私にとってここまで鬼気迫る演奏はKing Crimson以来でした。

ブレーキ無しで爆走する機関車のようなChristian Vanderのドラムにその周りを張り付いて暴れまわるBernard Paganottiのベース、それに負けない狂気染みたDidier Lockwoodのバイオリン、そして暗黒世界から魔獣でも召還するかのような重苦しいコーラスは圧巻の一言です。

もはや人間業じゃないコバイア星人が作り出した音楽なんでしょう。

地球外生命体が残した名盤を是非。

Hhaï


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O.S.I. / Free (2006年)



今回紹介する名盤はFates WarningのJim MatheosとDream TheaterのKevin Mooreが中心となり活動するバンドのアルバムです。

ジャンル

プログレッシブロック
プログレッシブメタル

アメリカ

Jim Matheos
Kevin Moore


バンド

O.S.I.はプログレメタルとエレクトロニカを掛け合わせたサウンドと本人達が説明いているようにDream TheaterやPorcupine Treeといったテクニカルでハードなプログレメタルとは一味違っています。

テクニックをこれでもか披露するタイプではなく音の空気感を第一に考えている様はまさに能ある鷹は爪を隠すといった感じです。

O.S.I.の音の空気感は暗く淡々としていて機械的で鬱になりかねない音世界であります。
無機質なサウンドにKevin Mooreの気だるく冷たい歌声には感情が無いのではないかと疑いたくなります。
サイボーグと言われるDaft Punkの方がまだ人間味があると思うくらい淡々としているんです。

影響を受けたと公言しているバンドはGenesisやJethro TullといったプログレバンドやBlack SabbathやUFOなどのヘビメタバンドです。

2003年に発表された「Office of Strategic Influence」ではドラムにDream TheaterやTransatlanticで活躍するMike Portnoyが参加しています。

また、Porcupine TreeのSteven Wilsonが作詞とボーカルとしてゲスト出演していたり、CynicやGordian Knotでチョップマンスティックやベースを弾いているSean Maloneが参加しています。

2009年に発表された「Blood」と2012年発表の「Fire Make Thunder」にはPorcupine TreeやKing Crimsonで活躍していたGavin Harrisonがドラムを叩いています。

こんなにも超一流の奏者が集まっているのにテクニックだけに走らず音の世界観を大事にしているところがO.S.I.の魅力だと思います。

1発でガツーン!と響く曲は無いかもしれませんが、1回や2回だけでは分からない良さがO.S.I.にはあります。

アルバム

本作はそんなO.S.I.の2枚目のアルバムでドラムを叩いているのはDream TheaterやTransatlanticで活躍する日本大好きマイキーことMike Portnoyです。

因みにMike Portnoyはローリングストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマーで8位にランクインしています。

私とO.S.I.の出会いは私が大学生時代課題に追われ、バイトで失敗が重なり、とことん落ちていた時に「夢も希望もなくなってくる作業用BGM」というのので本作の3曲目の「Go」という曲でした。

本当に落ちてる時に人は「がんばれ!」と言われると「頑張ってるのにもっと頑張らないといけないのか…」と余計にしんどくなるので、そういう時はただただ共感してくれると気が楽になります。

この原理と同じでアゲアゲの応援歌より暗く無機質なO.S.I.の曲がその時の自分と共鳴した感じがしてとても落ち着いたのを覚えています。

夢も希望も無くなって絶望の淵に立たされてる時、そっと寄り添ってくれる名盤を是非。

Go


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Alcest / Souvenirs d'un Autre Monde 邦題 別世界への追慕 (2007年)



今回紹介する名盤はディスクユニオンに邦題をつけてもらったバンドのアルバムです。

ジャンル

シューゲイザー
ブラックメタル
ポストロック
ブラックゲイズ

フランス

Neige


バンド

Alcestの中心人物であるNeigeはAmesoeursやPeste Noireなどの他にも数多くのバンドで活躍するマルチプレイヤーなのです。
Neigeはブラックメタル系のバンドによくライブの助っ人として呼ばれるのですが、Neigeが好きなバンドはDead Can DanceやJoy Division、The Cure、Depeche Modeなどブラックメタル系ではないバンドを好んで聴いているみたいです。

Alcestはシューゲイザーの持つ暖かく浮遊感あるノイズとブラックメタルの持つ美しく荘厳な部分を掛け合わせたサウンドはブラックゲイズと呼ばれ新しい音楽が生まれました。

Alcestは当初3人で活動していましたが、2005年に発表された「Le Secret」の時にはもう2人は脱退していてNeigeが1人で仕上げました。
そして、2007年に「Souvenirs d'un Autre Monde」が発表されて世界的に評価を受けることになりました。

2009年にドラムのWinterhalterが加入して現在の形になります。
2012年には初来日して東京ではソールドアウトになるほど人気で追加公演がアナウンスされました。

AlcestのコンセプトはNeigeが幼少の頃から夢見てきた空想世界への憧憬です。
その空想世界が他人に言葉だけでは伝えきれないので、そうした心情を音楽として表現しているそうです。


アルバム

本作はそんなAlcestが世界的に評価を受けることになったアルバムです。

まずジャケットが私の中でトップ10に入るくらい美しいんです。
風景などではなく人物で本作の音世界を表現している見事なジャケットだと思います。

儚くも美しいノイズに包まれながら囁くように歌うNeigeの声が染み渡り、Alcestが案内してくれる幻想世界は地獄のような暗闇ではなく、神々しい楽園なのです。

ブラックメタルを期待して本作を聴くと肩透かしを食らうかもしれませんが、聴いてみる価値は十分あります。

なぜか胸を締め付けられるような心地好い切なさを感じられる名盤を是非。

Souvenirs d'un autre monde


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The J. Geils Band / The J. Geils Band (1970年)



今回紹介する名盤はアメリカのThe Rolling Stonesと称されるバンドのアルバムです。

ジャンル

ロック
ブルース

アメリカ

J. Geils
Magic Dick
Danny Klein
Seth Justman
Peter Wolf
Stephen Jo Bladd


バンド

The J. Geils Bandというと1981年発表「Freeze Frame」からシングルカットされ全米1位に輝いた「Centerfold(邦題 堕ちた天使)」しか知らないという人もいるかと思いますが、The J. Geils Bandの本当の姿はブルースやR&B、ファンクを愛し続けひたすら黒い演奏をライブで本領発揮するB級バンドなんです。

The J. Geils Bandは元々J. GeilsとMagic Dick、Danny Kleinの3人でアコースティックブルースバンドとして活動していて、そのライブを見て共感したのが当時ラジオのDJとして活躍していたPeter Wolfでした。
そして、Peter Wolfが組んでいたThe Hallucinationsでドラムを叩いていたStephen Jo Bladdと共にThe J. Geils Bandに加入したのです。
その少し後にSeth Justmanが加入してThe J. Geils Bandは完成されました。

それからThe J. Geils Bandはライブを精力的に行っていきメキメキと力をつけていきます。
ウッドストックに参加しないか声を掛けられたり、Fleetwood MacやJeff Beck、Black Sabbathの前座を担当したり、The Beach Boys、The Allman Brothers Bandと共演したりと業界人や耳の越えたリスナー達に評価され始めます。

レコードこそ売れませんがローリングストーン誌の71年ベスト ニュー バンドに選ばれたりしていたのです。

なぜ当時の一般リスナーに支持されなかったのかというと、サイケやプログレ、ハードロックが全盛期なのにも関わらず、古臭いブルースをやっていたのが大きいのではないでしょうか。

でも逆にそのブルース愛が一部のコアなファンの心を掴んで話さなかったのでしょう。

しかし、1980年前後から少しずつ音楽に変化が見え始めて、1981年に発表された「Freeze Frame」からシングルカットされた「Centerfold(邦題 堕ちた天使)」はついに全米1位を獲得しました。

しかし、悲しいことに昔からのファンには産業ロックと流れたと言われ不評でした。
そして、1983年にThe J. Geils Bandの顔であったPeter Wolfが脱退し、1985年にThe J. Geils Bandは活動を停止せざるを得ない状況となりました。

私はリアルタイムで聴いていないので初期のThe J. Geils Bandも後期のThe J. Geils Bandもどっちも好きです。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第三部に出てくるJガイルの旦那の元ネタです。


アルバム

本作はそんなThe J. Geils Bandの初期の初期、デビューアルバムになります。

デビューアルバムでこの完成度と驚かされますが全曲それまでずっとライブで演奏しまくっていた曲なので、レコーディングはたったの18時間という早さで完成されました。

11曲中6曲はカバーで5曲がオリジナル曲になっていますが、どの曲もいい意味で野暮ったく渋くて男臭いんです。

だけど、何処と無くポップでノリがいいんです。

最近のロックは やたらとナヨナヨしていたり、逆にただうるさいだけだったりして楽しくないという人は必聴です。

黒人音楽を愛して止まない者達が真っ黒に奏でた名盤を是非。

Homework


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