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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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Smith & Mudd / Le Suivant (2009年)



今回紹介する名盤は優良バレアリックレーベルClaremont 56の設立者が組んでいるユニットのアルバムです。

ジャンル

バレアリック
チルアウト
アンビエント

イギリス

Benjamin Smith
Paul Murphy


アーティスト

ジャンルに書いてある「バレアリック」ってなに?って思われる人もいると思うので説明します。

バレアリックとはスペインの地中海に浮かぶバレアレス諸島の島の1つで世界遺産にも登録されている「イビサ島」発祥の音楽なんです。
イビサ島にはバーやクラブが多く、世界中の超有名DJ達がプレイするのでヨーロッパのクラブカルチャーの中心地となりました。

ではどんな音楽かというと、地中海で一番美しい海と称される海岸線に沈む夕日の風景を眺めながら聴く音楽なんです。
かなり抽象的ですが、これ以上の表現は持ち合わせていません。
つまり、心地好い音楽ってことです。

サンセットを楽しみながらバレアリックミュージックを聴ける場所がイビサ島のカフェ・デル・マールというバーで、DJがかける心地好い音楽の影響で世界で最も有名なバーの1つとも言われるほどの観光スポットなりました。

さてSmith & Muddですが、Muddはソロで2007年に発表した「Claremont 56」が高く評価され、同名のレーベルを設立しました。

このレーベルはバレアリック系の美しい音楽を発表することをコンセプトに活動していき、欧州などで月間100万人に及ぶ読者がいると言われるレジデント アドバイザー誌で月間注目レーベルに選ばれたりしました。

Muddはソロ活動やSmith & Muddの他にも制作活動と自身のレーベル運営をこなしながら世界中のクラブやパーティーでプレイしている売れっ子DJです。

SmithはFUGやKost Effectiveのメンバーとしても活躍している実力者なんです。
そして、Smith & MuddはClaremont 56発表の作品の半分以上を占める看板ユニットなんです。

アルバム

本作は哀愁と透明感が溢れる前作「BLUE RIVER」から約1年半ぶりのアルバムになります。

カッコいいリフがあるわけでもなく、素晴らしい歌詞があるわけでもなく耳馴染みのいい美しいメロディーがゆったりと流れるだけなので、若い人には物足りなく感じるかもしれません。

しかし、私くらいの歳になるとこういう物言わない音楽が染み渡るのです。

マーブルチョコレートのようなカラフルな音色ではなく、夕焼け空のグラデーションのような音色なんです。

ジャケットのような薄暗い森の中で焚き火を囲みながら聴くと不思議な世界に連れていってくれるでしょう。

私にとってとてもリラックス効果がある音楽なので心が疲れたり、脳が興奮状態の時によく流してチルアウトしてます。

普段の忙しい日々でアドレナリン出まくりで火照った身体をチルアウトさせてくれる名盤を是非。

Le Suivant


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Nico & Vinz / Black Star Elephant (2014年)



今回紹介する名盤は2015年のサマソニで最高のパフォーマンスを魅せてくれた2人組のアルバムです。

ジャンル

アフロビート
ヒップホップ
R&B

ノルウェー

Nico (Kahouly Nicolay Sereba)
Vinz(Vincent Dery)


アーティスト

Nico & Vinzは2009年から活動を開始して、2010年の「The Emerging Festival」というコンテストで優勝し、ここから快進撃の始まりです。

北欧中にNico & Vinzの名前が轟き、2011年に「One Song」でデビューするとノルウェーのグラミー賞と言われるSpellmann Awardを受賞します。
そして、2013年発表の「Am I Wrong」が世界的にはほぼ無名ながらドイツのiTunesシングルプレオーダー歴代最高数を記録するなどヨーロッパを席巻し、全英1位全米4位を記録する大ヒットとなりました。

さらに次曲「In Your Arms」も大ヒットし、2013年末に行われたノーベル賞受賞式コンサートで、この2曲を披露して世界的アーティストとして認知されました。

Nico & Vinzとして紹介していましたがここまでの活動はNico & Vinzという名前ではなく「Envy」という名前で活動していました。

2013年発表の「Am I Wrong」が大ヒットし、世界に羽ばたくために2014年に自分達の名前であるNico & Vinzとして活動を始めていきます。

アフリカ系ノルウェー人なので民族的なリズムやサウンドの中に、北欧のオシャレなテイストが含まれていて「新時代のネイチャー・サウンド」と形容される独特な音楽に仕上がっています。

2015年のサマソニに行ったのですがNico & Vinzのパフォーマンスは最高でした。
快晴の夏空と入道雲を背にして、片手にビールというロケーションでNico & Vinzのライブを観ましたが、日々の疲れやストレスは汗と一緒に流れて消えてしまうほどの爽快感でした。

アルバム

本作は世界で勝負するためにNico & Vinzと改名してから初めてのアルバムなので、溢れんばかりの充実感です。

「Nico & Vinzのアルバム」というより「Am I Wrongが入ってるアルバム」という目的で本作を購入した人も多いはずですが、そういう人にはうれしい誤算があるでしょう。

それくらい他の曲も個性的で魅力的なのです。
「Am I Wrong」は勿論名曲なんですがハーモニカの音で明るく楽しくなる「Homeless」や徐々にスピードアップしていき疾走感のあるクールな「Last Time」など聴き所満載となっています。

21曲と曲数は多いですが、その内の7曲はアルバムの世界観を演出するための数十秒の民族音楽なので、トータルすると60分ほどです。

アフリカの血がたぎるほど熱いアフロビートに北欧のクールなサウンドが丁度いい名盤を是非。

Am I Wrong


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Antônio Carlos Jobim / Wave 邦題 波 (1967年)



今回紹介する名盤はJoão GilbertoやVinícius de Moraesと共にボサノヴァ創始者の一人とされるアーティストのアルバムです。

ジャンル

ボサノヴァ

ブラジル

Antônio Carlos Brasileiro de Almeida Jobim


アーティスト

Antônio Carlos JobimはTom Jobimとも呼ばれていました。(以下Tom Jobim)

Tom Jobimはブラジル近代音楽の父の異名を持つPixinguinhaやクラシック音楽にブラジル音楽を取り入れた大作曲家Heitor Villa-Lobos、そして代表作「海」「夜想曲」などで知られるDebussyから影響を受けました。

14歳頃からピアノと作曲を始め、将来は音楽家を志す少年時代を過ごしますが大きくなるにつれて、家族を養うことを考えて建築を学びました。
結婚もして働き始めましたが、やはり音楽のことを忘れきれずピアノ奏者としてひっそりと活動していました。

そして、売れないピアニストとして終わらないのがTom Jobimなんです。
ブラジルのクラシック音楽とポピュラー音楽に関わっていたRadamés Gnattaliに見出だされ、楽譜がわからないアーティストの曲の譜面起こしや編曲の仕事などを任されました。

地道に頑張っていたTom Jobimについにチャンスが訪れます。
ボサノヴァ創始者の一人Vinícius de Moraesが制作した舞台「オルフェウ・ダ・コンセイサォン」(後に「黒いオルフェ」として映画化され大ヒットする)の音楽を担当し、有名作曲家の仲間入りを果たしました。

そして、Tom JobimとVinícius de Moraesで作り上げた「想いあふれて」をボサノヴァ創始者の一人João Gilbertoに演奏してもらいボサノヴァが誕生しました。
するとブラジルでボサノヴァムーブメントが起こりました。

そして、Tom Jobimの代表曲「イパネマの娘」はThe Beatlesの「Yesterday」に次ぐほどカバーされるボサノヴァの代表曲です。

Tom Jobimは音楽の他にもう1つ好きなものがあります。
それは飛行機を眺めることでした。
飛行機好きが高じてヴァリグ・ブラジル航空のCMソングとして作詞・作曲した「ジェット機のサンバ」を提供したり、Tom Jobimの死後、彼の功績を称えるためにガレオン空港は「アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港」と改名されました。

また、ブラジルではTom Jobimの死に際して大統領は国民に3日間の喪に服すようにと話したそうです。

アルバム

本作はTom JobimがA&Mに移籍して1発目のアルバムになります。

ジャズ界では有名なベーシストRon Carterがベースを担当しています。
ボサノヴァというと呟くようなボーカルが特徴的ですが、本作は「Lamento」を除く全てがインストなんです。

純粋なボサノヴァとは少し違っていて、ボーカルの代わりにストリングスを導入し、とても高度で繊細な音楽に仕上がっています。

しかし、本作は「究極のイージーリスニングミュージック」として親しまれました。

高い音楽理論に基づき、超一流の奏者がここまで洗練された演奏をしているのに「究極の簡単に聴ける音楽」だと?と疑問に思いしましたが、カフェやレストラン、部屋、車中、屋外そして、朝昼晩いつでも気軽に聴けて雰囲気を作ってくれる音楽はめったにありません。

しかも音楽好きは勿論、音楽に興味の無い人でも不快にならない音楽なんです。

引力や風など様々な難しい要因が複雑に重なって発生する穏やかな波のような名盤を是非。

Wave


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Cream / Wheels of Fire 邦題 クリームの素晴らしき世界 (1968年)



今回紹介する名盤はスーパーグループのはしりとして活躍し、今や伝説のバンドのアルバムです。

ジャンル

ハードロック
サイケデリックロック
ブルース

イギリス

Ginger Baker
Jack Bruce
Eric Clapton


バンド

Creamを知らなくてもEric Claptonの名前は知っている人は多いのではないでしょうか。
Eric Claptonは当時John Mayall & the Bluesbreakersという一流の名手達と演奏するバンドに所属していましたが、Eric Claptonはそのバンドでは何か物足りなさを感じていました。

そこにタイミングよくGinger Bakerが新しいバンドの話を持ってきたのです。
そこでEric ClaptonはJack Bruceが参加するならやるという条件を出しました。
一見何でもなさそうな条件ですが、この条件がかなりの曲者でした。
というのもGinger BakerとJack Bruceは自他共に認めるほど仲が悪かったのです。

しかし、互いに実力は認めていたのでGinger Bakerは条件を飲み、伝説のバンドCreamは結成されました。

Creamと聞くと何か可愛らしいイメージがあるかもしれませんが、Ginger BakerとJack Bruceはジャズ出身なのでゴリゴリの即興演奏とEric Claptonのブルース魂が化学反応を起こしました。

サイケデリックロックのように陶酔できる最高のブルースをそれぞれがこれでもかというほど大音量で演奏した結果、後のハードロックへと続くのです。

その影響力は凄まじくLed Zeppelin、Deep Purple、Rush、The Allman Brothers Band、Grateful Dead、Black Sabbathなど私の知ってるだけでもこれほど多方面のアーティストに影響を与えているのです。

後のロック界に多大な影響を与えたCreamですが活動期間は3年に満たないのです。

なぜかというとCreamにはリーダーが存在せずに超一流3人の強い個性がぶつかり、ついに爆発してしまい空中分解してしまいました。

そんなCreamはローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティストで第66位にランクインしております。

因みにジョジョの奇妙な冒険 第三部に登場するヴァニラ・アイスのスタンドの元ネタです。

アルバム

本作はそんなCreamの均衡が今にも崩れそうな時期、同時にメンバー全員が一番力を発揮していた時期を収めたアルバムです。

本作はディスク1にはスタジオ録音したものでディスク2にはライブ演奏を録音したものが収録されていて、世界で初めてプラチナアルバムを獲得した2枚組のアルバムとして記録されています。

ディスク1にはCreamの代表曲「White Room」が収録されているのは勿論のこと、なんといってもディスク2のライブ演奏が聴けるのが本作の聴き所でしょう。

Creamの醍醐味はジャズばりの即興演奏です。
実力者同士のぶつかり合いとも言える演奏は鬼気迫るものがあります。

ハードロックのように激しく、サイケデリックロックのように歪んだサウンドの白いブルースロックの名盤を是非。

Crossroads


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Tera Melos / Drugs/Complex (2010年)



今回紹介する名盤は音のジェットコースターと比喩されるバンドのアルバムです。

ジャンル

マスロック
インディーロック
プログレッシブロック

アメリカ

Nick Reinhart
Nathan Latona
John Clardy


バンド

Tera Melosはロック、プログレ、ジャズ、アンビエント、エレクトロニカなど様々なジャンルを取り入れ型破りな曲を演奏するバンドです。

現在Tera Melosはギター、キーボード担当のNick Reinhartにベース担当のNathan Latona、ドラム担当のJohn Clardyですが、初期のTera MelosはギタリストJeff Wormsを含む4ピースだったので怒濤のタッピングツインギターの掛け合いはそんじょそこらでは体験出来ないほどのド迫力に急加速に急ブレーキのスピード感、そしてうねるリズムはSleeping Peopleと彼等くらいでしょう。

現在は3ピースで歌のある曲も増えてきているのでインストが苦手な人でも取っ付きやすくなったのではないでしょうか。

Tera Melosを紹介する時よくマスロックとして紹介されていますが、本人達はその様々なジャンルを吸収した音楽世界を圧倒的な演奏力で表現する音楽を新しい音楽として考えているのです。

マスロックは聴き辛いという印象がある人が聴いてもTera Melosは単純に格好いいと思いますし、BattlesDon Caballeroでは物足りないという人をも満足させるほどのテクニックの応酬です。
この聴きやすさはCap'n JazzやMODEST MOUSEなどのエモ的要素があるからかもしれません。

Tera Melosの核といえる中心人物は2人います。
まず1人目Nick Reinhartが影響を受けたアーティストはAphex TwinSquarepusherで2人目John Clardyが影響を受けたアーティストはKurt CobainとJohn Lennonと話しています。

Aphex TwinとSquarepusherの変態的音楽性にKurt CobainとJohn Lennonの良質なメロディー性を掛け合わせると案外Tera Melos的なのかもしれませんね。

LITEと仲が良いだけあって結構日本でもライブをしてくれるバンドなので、機会があれば是非足を運んでほしいバンドです。

アルバム

本作は2007年に発表されて現在は廃盤のレアEP「Drugs to the Dear Youth」のリマスター音源と2007年に発表されたBy the End of Tonightとのスプリットアルバム「Complex Full of Phantoms」で提供した曲を合わせた日本オリジナル版になります。

前半Drugs部分は初期のインストジェットコースターサウンドが聴けて、後半のComplex部分では2010年発表の「Patagonian Rats」のような歌ものが聴けるのでTera Melosの変化がわかりやすいでしょう。

前半が気に入ったなら2005年発表の「Tera Melos」を聴いてみて、後半が気に入ったなら上記した「Patagonian Rats」や2013年発表の最新作「X'ed Out」を聴いてみてはいかがでしょう。

本作も若者しか出来ないであろうハイテンションでスピード感溢れるアクロバティックな演奏が聴けます。
そしてハイスピードな演奏ばかりではなく、間にあるゆったりとしたアンビエントやエレクトロニカ的な空間を感じさせる演奏もさらりとこなしてしまうあたりが只者ではないのでしょう。

アグレッシブやアバンギャルドといった表現がピッタリな音世界です。

あまりの変拍子なので音で酔ってしまうのではないかと思うほどのジェットコースターサウンドな名盤を是非。

When Worms Learn to Fly


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