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『私的名盤おすすめ処』

私が聴いて『これは名盤だ!』と感じたものをひっそりとレビューするブログです。

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Sufjan Stevens / Illinois (2005年)



今回紹介する名盤は新時代のNeil Youngとも言えるシンガーソングライターのアルバムです。

ジャンル

フォーク
インディーフォーク

アメリカ

Sufjan Stevens


アーティスト

Sufjan Stevensはギターやピアノ、ベース、バンジョーなどの楽器を演奏できるマルチプレイヤーであり、その全ての楽器を巧みに組み合わせて奏でられるメロディーはオーケストラ顔負けのスケールのフォークミュージックなんです。

Sufjan Stevensの音世界には3つの要素が繊細に絡み合って奏でられているのです。

まず1つ目はクラシック、Sufjan Stevensは中学の頃からオーボエという木管楽器を習い始めて高校、大学とオーケストラに入って演奏する日々を過ごしました。
オーケストラのレパートリーにクラシックが多かったので自然と関わる機会が増えていき、クラシック音楽に親しむようになりました。

そして2つ目はポップミュージック、Sufjan Stevensが中高生の頃は特に音楽に興味も持っていなかったので、練習のためにクラシックは聴いていたものの、クラシックを好んで聴いていたりはしていませんでした。
むしろ当時アメリカのヒットチャートに入るようなポップミュージックのMichael JacksonやThe Bangles、The Go-Go's、The Cureなどを聴いていたのです。

最後の3つ目はフォーク、ある日Sufjan Stevensの義父が集めてたThe BeatlesやThe Rolling Stones、The Beach Boys、Neil Young、Yesなどのレコードをテープに録音してくれて60年代の音楽に興味を引かれ聴くようになり、中でもNeil Youngにかなり影響を受けたそうです。

大学生の頃にMarzukiというフォークバンドを結成し活動していましたが、解散になりSufjan Stevensはシンガーソングライターとして活動するようになります。

ソロ活動をする中でアンダーグラウンドシーンでは少しずつ話題になっていたのですが、2003年に発表された「Michigan」を期にSufjan Stevensはある企画を発表し世界を驚かせることになります。

その企画というのがアメリカ50州全てのアルバムを製作するという「THE 50 STATES」です。

単純計算でもアルバムを50枚作らないといけないので、多作家Frank Zappa並の製作意欲と言えるでしょう。

また、2007年にはBjörkやElvis Costello、Princeなどが参加した「A Tribute to Joni Mitchell」に参加して話題になりました。

アルバム

本作は「THE 50 STATES」第2弾でアメリカのAmazon.comのベスト オブ 2005の第一位に選ばれたSufjan Stevensの代表作といえるアルバムです。

本作の特徴はお世辞にもカッコいいとは言えない雰囲気あるジャケットと曲名の長さです。

2曲目のタイトルは「The Black Hawk War, Or, How To Demolish An Entire Civilization And Still Feel Good About Yourself In The Morning, Or, We Apologize For The Inconvenience But You're Gonna Have To Leave Now, Or, 'I Have Fought The Big Knives And Will Continue To Fight...」です。

いや、もう文章じゃん!となりますが、これはSufjan Stevensが小説家を志していたからでしょう。

アルバムは勿論のこと、1曲1曲が短編の物語になっているのです。

Sufjan Stevensの作品は歌詞と一緒に楽しんでいただきたいと思います。

そして音楽を聴くと、あのダサいジャケットも長ったらしい曲名も1つの芸術として昇華するのです。

Sufjan Stevensが自分一人で作り上げた短編物語の世界を音楽で表現した名盤を是非。


Casimir Pulaski Day & Jacksonville

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Tony O'connor / Summer Rain (1997年)




今回紹介する名盤は癒し、安らぎ、和みを音楽で表現するアーティストのアルバムです。

ジャンル

ヒーリングミュージック
ニューエイジ
アンビエント

オーストラリア

Tony O'connor


アーティスト

Tony O'connorはヒーリングミュージックの作曲家で1987年に発表した「Journey」でヒーリングミュージックというジャンルは話題を呼びました。
それ後も鳥のさえずりや川のせせらぎ、雨音、虫の音など自然の音をバックにギターやピアノを奏でるサウンドは世界中の病院やヒーリングセンター、カイロプラクティック、ヨガ教室などで広く使用されているのでした。

ヒーリングミュージックの歴史はとても古いのです。
古代ローマでは音楽を「心の薬」として活躍しており、大きな縦笛のような楽器を患者の胸に押し当てながら演奏して直接心に音を届けて治療するという方法です。

実際に病気に効果があったかどうかはわかりませんが、優しい音楽を聴いて幸せな気持ちになることで辛い気持ちを和らげることができるのです。

現在では認知症患者に音楽が良い刺激となることがわかっています。
特に認知症患者本人が青春の頃によく聴いていた曲を聴く効果が強いそうです。

また、妊婦さんの胎教のために音楽を聴くといいとも言われています。

Tony O'connorはヒーリングミュージックの世界で第一線で活躍していたアーティストで1989年に発表した「In Touch」はプラチナアルバムアワードを獲得し、1990年に発表した「Mariner」は世界中で150万枚以上売れた大ヒットを記録しました。

その他にも、Tony O'Connorが約1年オーストラリアの熱帯雨林を旅して自然音を録音した「Rainforest Majic」アボリジニの民族楽器ディジェリドゥーを使用した「Uluru」水中写真家David Hannanとのコラボ作「Aqua Zone」など次々と発表し、その全てがヒットしました。


アルバム

本作のタイトル「Summer Rain」直訳すると「夏の雨」日本人の私からすると夏の雨は湿度を上げるだけのジトジトした雨か夕立やゲリラ豪雨的な どしゃ降りのイメージなのですが、本作の音はそのような不快感は一切ありません。

夏というより夏の終わりや秋の始まりをイメージする音です。
遠くから聞こえてくる雨音がとても涼しげで、虫の音色も心をクールダウンしてくれます。

それに寄り添うようにTony O'ConnorのピアノやフルートとPaul Clementのクラシックギターのアルペジオが風のように流れるんです。

この2人の相性は抜群でこれ以降も数作品共演しております。

実際に風鈴の音色を聴いて体温が下がったという話もあるので、音楽でも涼しくなれるはずです。

寝苦しい夏の熱帯夜に心も身体もクールダウンしてくれる癒しの名盤を是非。

本作に収録されている曲の動画が無かったので、Tony O'connorの別の曲をお聴き下さい。


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Sonic Youth / Murray Street (2002年)




今回紹介する名盤はKurt Cobainに影響を与えてNirvanaの兄貴分的バンドのアルバムです。

ジャンル

ノイズロック
オルタナティブロック
インディーロック

アメリカ

Kim Gordon
Thurston Moore
Lee Ranaldo
Steve Shelley


バンド

Sonic Youthはローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリストで第99位にランクインしているThurston Moore、グランジのゴッドマザーと称されるKim Gordon、改正前の2003年度の同名ランキングではThurston Mooreの1つ上になる33位にランクインしていたLee Ranaldo、そして様々なバンドで活躍するSteve Shelleyの4人が中心に活動するバンドです。

80年代前半から活動を開始し、82年に「Sonic Youth」を発表しますが見向きもされませんでしたが、自分達の音楽を信じて85年に「Bad Moon Risin」を発表し、やっとインディーレーベルと契約します。

そして、少しずつSonic Youthの実力が広まり、88年にSonic Youthファンの間では最高傑作と言われる「Daydream Natio」が発表されます。
この作品が認められメジャーレーベルから話がきて契約しましたが、Sonic Youthは一筋縄で契約はしません。

なんと、音楽の方向性などはバンドに主導権があるという条件で契約しました。
この事により、流行などに左右されず大衆性を無視して自分達の音楽を追求していった結果、リリースしたアルバムはたいして売れませんでした。

しかし、評論家や他のアーティストからは評価され、メディアの高評価とアルバムの売上枚数に最もギャップのあるバンドだと言われたこともあるのです。

商業主義に左右されないSonic Youthの姿勢は後のバンド達に尊敬されました。
Sonic Youthはパンクの世界にアート志向と実験性を持ち込んで変則チューニングで狂気的なノイズを鳴らすバンドなんです。

Thurston Mooreは「エレキギターを聴くということはノイズを聞くこと」と発言しています。

アルバム

本作はSonic Youthの長い歴史の中で色々合わせると16枚目のアルバムになります。

Sonic Youthのファンからすると何故本作を選ぶんだ?と思われるかもしれませんが、私にはSonic Youthは少し難解で一通り聴きましたが私の琴線に触れた作品がこれだけでした。

3年前Sonic Youthをまだ勉強中の私には本作くらいポップさがないとSonic Youthの世界に入門できなかったのです。

本作は母国アメリカでは126位とチャートインは逃しますが、ノルウェーのチャートでは16位と好成績を残しています。
北欧の音楽が好きな私も本作は気に入ったので、北欧の何かが少し関係あるのかもしれません。

本作から親日マルチプレイヤーのJim O'Rourkeが参加し、担当楽器は「道楽」と言われているのはファンの間では有名な話であります。

本作を製作中にアメリカ同時多発テロ事件があり、使っていたスタジオに飛行機のエンジンが落ちて立ち入り禁止となってレコーディングが中断されるという災難にあっています。

ノイズの帝王Sonic Youthと奇才Jim O'Rourkeがタッグを組んで鳴らしたポップなノイズ世界の名盤を是非。

Rain on Tin


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The Byrds / Mr. Tambourine Man (1965年)



今回紹介する名盤はThe BeatlesとBob Dylanを足したバンドのアルバムです。

ジャンル

フォークロック
サイケデリックロック
カントリー

アメリカ

Roger McGuinn
Gene Clark
David Crosby
Chris Hillman
Michael Clarke

バンド

The Byrdsはローリングストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティストで第45位にランクインし、ロック殿堂入りのバンドであります。

ギタリストのDavid CrosbyはCrosby, Stills, Nash & Youngのメンバーとしても有名でQ誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーで第99位にランクインしていますし、The ByrdsとCrosby, Stills, Nash & Youngで計2回もロック殿堂入りを果たしていることになります。

他のメンバーも後のアメリカンロック界でとても重要な人物ばかりです。

The Byrdsは当時無名なのにも関わらず1965年発表のデビュー作「Mr. Tambourine Man」のタイトル曲は全米全英1位を記録しました。

そして、何が凄かったかというと今では当たり前とされるフォークロックですが、当時としては新しい音楽だったのです。

Bob Dylan(フォーク)の名曲「Mr. Tambourine Man」をThe Beatles(ロック)のようなビートやコーラスで演奏するというアプローチは一種の発明でした。
しかし、古くからのフォークファンからは音楽的堕落など非難されました。

その典型的な例が1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで起きた事件でしょう。
それはBob Dylanがバックバンドを従えてエレキギターで演奏し始めると頑固なフォークファンがブーイングを始め、ブーイングがあまりに止まないのでBob Dylanは1度舞台から降り、アコースティックギターに持ち替えて再び舞台へ上がったのでした。

出る杭は打たれるということでしょうか。

しかし、The ByrdsのMr. Tambourine Manも全米全英1位になりましたし、Bob Dylanが初めてロックに接近したBringing It All Back Homeも全米6位とアルバムで初めてトップ10入りし全英では1位にランクインしました。

The Byrdsの真の凄さはフォークロックを開拓したことに甘えずに作品ごとに進化していったところでしょう。

サイケデリックロックの先駆けとされる「Fifth Dimension」やカントリーロックの先駆けとされる「Sweetheart Of The Rodeo」などロック界の幅が広がりました。

アルバム

本作は上記したようにフォークロックの先駆けとなったアルバムです。

本作をまったく知らずに聴くと「The Beatlesじゃんか!」と思うほどサウンドが似ているように感じると思います。

それはGeorge Harrisonの影響を受けたRoger McGuinnの演奏する12弦ギターの影響だからだと思います。

今聴くとThe Beatlesに似てるなーと思ってThe Byrdsの良さや凄さに気付かず流れてしまうかもしれませんが、よくよく考えてみると「Mr. Tambourine Man」の発表は1965年6月21日でThe Beatlesの「Help!」の発表は1965年8月6日なんです。

そう思うとThe BeatlesがThe Byrdsに似てるとも言えるのかもしれません。

Bob Dylanのカバー曲を4曲も入れるほどリスペクトしているThe Byrdsですが、この時期のThe Byrdsのライブをわざわざ聴きに行き、アコースティックギターからエレキギターに持ち替えたとも言われています。

フォークとロックが出会った名盤を是非。

Mr. Tambourine Man

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Manuel Göttsching / E2-E4 (1984年)




今回紹介する名盤はテクノミュージックの発展に多大な貢献をしたアーティストのアルバムです。

ジャンル

クラウトロック
アンビエント
ミニマルミュージック
テクノ

ドイツ

Manuel Göttsching


アーティスト

Manuel Göttschingは10代からクラウトロックの代表的なバンドと言われるAsh Ra Tempelの中心人物として頭角を表していました。

初期のAsh Ra TempelはPINK FLOYDのようなスペーシーなサイケデリックロックでしたが、後期にはまだ世界にテクノと言われる音楽がなかった時代にテクノの原形のようなサウンドを鳴らしていました。
Manuel Göttschingはいつも時代の1歩先を歩いていたのです。

しかし、世間は彼の音楽センスに着いていけず正当に評価されませんでした。
というのも、Manuel Göttschingの代表作「E2-E4」は1981年にレコーディングしたものの、あまりに先進的過ぎてお蔵入りになりました。

そして、時間が約3年過ぎてようやく1984年に発表まで漕ぎ着けました。
ところが、待っていた評価は「こんなもの音楽とは言えない」「あまりに展開のない駄作だ」などの酷評ばかりでした。

80年代前半の世間の聴衆にはまだ、ミニマルミュージックやテクノ、エレクトロニカなどの音楽は存在しなかったので「E2-E4」という存在は当時、オーパーツともいえるものだったのです。

さらに時間を進めて1989年にSueño Latinoを始めとする様々なDJにサンプリングされて脚光を浴び、ついに時代が追いついてきたのでした。

イージーリスニングやアンビエント、ニューエイジ界に多大な影響を与えたギタリストでもありますが、同時にテクノやハウスの創始者として後の音楽界に多大な影響を与えました。

2006年と2008年には日本のエレクトロニック ダンス ミュージックフェスティバル「METAMORPHOSE」に参加し来日もしました。

アルバム

本作はテクノミュージックの発展に大きく関わった超重要なアルバムです。

シングルでもカップリングとか合わせると少なくとも2曲はあるのに、本作に収録されている曲はたったの1曲なんです。

約1時間の「E2-E4」が1曲のみ。

旨いラーメン屋のメニューに「ラーメン」しかないような姿勢に好感を持ちます。

しかも、シンセとリズムマシンの打ち込みを流しながら、Manuel Göttschingのサイケ的なギターは一発録りなのです。

ジャケットとE2-E4というタイトルを見ると勘のいい人ならわかるかもしれませんが、本作のコンセプトは「チェス」なんです。

また、当時話題になっていた「コンピューターチェス同士のエンドレス対戦」を音楽で表現するというものでした。

徐々に音の数が増えていき、少しずつ盛り上がりグラデーションのような曲展開、後半のサイケギターは唯一無二です。

現在、特に日本人はAメロ-Bメロ-サビという流れがないと聴くに堪えないという人が多いかと思いますが、音楽の歴史を遡るとメロディー何てものはなく、手拍子や打楽器を鳴らしながら歌うだけです。
そう考えると音楽の本質にとても近い音楽なのではないでしょうか。

音の予言者が誰に理解される訳でもなく、独りで作り上げたオーパーツ的名盤を是非。

E2-E4


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