今回紹介する名盤は豪華客船タイタニック号の隠れた秘話に元に作られたアルバムです。
ジャンル
アンビエント
現代音楽
クラシック
イギリス
Richard Gavin Bryars
アーティスト
現代音楽と呼ばれるジャンルは不協和音を多用する聴き辛いジャンルなのですが、Gavin Bryarsは比較的入りやすい音楽を作曲することで知られています。
Gavin Bryarsが大学卒業後に3年間音楽を学びます。
その時はジャズベーシストとして活躍していて、オーソドックスなジャズばかりを演奏していましたが、せっかく可能性のある若い音楽家なのに形式にはまった演奏ばかりしていることに疑問を持ち始めます。
そして、John Coltraneに影響を受け自由な即興演奏に変わっていき、さらに作曲の方に興味を持ち始めMorton FeldmanやEarle Brown、Steve Reichなどの現代音楽家やミニマルミュージックに影響を受けながら作曲していました。
そして、1969年にGavin Bryarsが長い年月付き合っていく作品「The Sinking of the Titanic 邦題 タイタニックの沈没」が始まります。
これは沈みゆくタイタニックの上で最後まで演奏を止めなかった音楽家たちの演奏を生き残った乗客や船員たちの証言や記録を元に再現するという作品でGavin Bryarsの名前は世界に知れ渡りました。
これは実に20年以上かけて制作され、新しい資料や情報が入れば随時変えていきました。
また、環境の整ったスタジオではなく実際の状況に近い貯水塔やプールで演奏を録音し、沈み行く船を表現するために様々な効果音を加えました。
Aphex Twinは「26 Mixes for Cash」でRaising The Titanicのリミックスをしています。
偶然性の音楽を作るために素人の学生たちを集めクラシック音楽を演奏させるなど新しいことに挑戦していました。
本作は上記したようにGavin Bryarsの出世作になります。
これは実話に基づいていてタイタニックが氷山に衝突し沈没するまでの間に演奏していたであろう曲を再現したものです。
船員達が救助活動をしている間、乗客が少しでも落ち着けるように演奏を続け船と運命を共にしました。
その勇姿ある演奏家達はWallace Hartley、Roger Bricoux、John Clarke、Percy Taylor、Georges Krins、Theodore Braile、Jock Hume、John Wesley Woodwardの8人でリーダーであるWallace Hartleyの遺体を引き上げてみるとバイオリンを大事に抱え込みながら亡くなったそうです。
映画のタイタニックではレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットのラブストーリーですが実際は映画よりドラマチックな事が行われていたのです。
偉大なる8人の演奏家が死を覚悟して奏でた鎮魂曲を再現した名盤を是非。
The Sinking of the Titanic
Gavin Bryars Philips 1995-02-14
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