今回紹介する名盤は「ロック、ファンク、ジャズ、パンクと音の力を究めた」と言われる演奏をする日本人女性ピアニストのアルバムです。
ジャンル
ジャズ
プログレッシブジャズ
日本
上原ひろみ
アーティスト
上原ひろみは6歳からピアノを始め、小学校の高学年の時には学校の音楽会で「おどるポンポコリン」を発表するため、編曲や楽器パートの譜面作りなど自分一人で全てやってしまうほどでした。
この頃は鍵盤の皇帝Oscar Petersonやビハインド・ザ・ビートと呼ばれるErroll Garnerなどのジャズを好んで聴いていました。
しかし、高校時代はFrank ZappaやDream Theater、
King Crimson、Jeff Beck、Sly & The Family Stoneロックも好んで聴くようになり音楽の幅が広がります。
そして、16歳の時に上原ひろみにとって運命的な出会いと言えることが起こります。
それはたまたま来日公演のためヤマハでリハーサルを行っていた
Chick Coreaの目に留まり「弾いてごらん」と促されて目の前でピアノを弾きました。
すると上原ひろみの演奏に感銘を受けたChick Coreaも演奏を始めて、その場で即興での共演となりました。
そして、Chick Coreaの来日公演の最終日に上原ひろみをステージ上に呼んで観客の前で共演を果たします。
上原ひろみの演奏技術も凄いですが、私はその場で演奏出来る心の強さ、度胸に関心します。
余程自信がないと萎縮して演奏しないか、もし演奏をしても普段の力を発揮できないはずです。
そして、心の強さも然る事ながら器の大きさも凄くて、コンサートの演奏中に観客の携帯が鳴り響いてしまったのですが、上原ひろみはその着信音を演奏の中に織り混ぜて演奏を続け、観客に笑顔で応えました。
上原ひろみの快進撃はデビュー作「Another Mind」は日本ゴールドディスク大賞でジャズアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞したのを始め、2004年発表「Brain」はアメリカで「サラウンド・ミュージック・アワード」を受賞し、その後もグラミー賞を含め数々の賞を受賞していきます。
アルバム
本作はそんな上原ひろみのデビュー作でコンセプトは「ピアノトリオの限界」です。
上原ひろみは童顔で見た目は可愛らしい子どもみたいですが、1曲目の「XYZ」を聴くと打ちのめされること間違いなしです。
想像を絶するアグレッシブな演奏で変拍子に次ぐ変拍子で、そこら辺のプログレバンド顔負けの曲になっています。
Bill Evansの「
Waltz for Debby」のようなピアノジャズをイメージして聴くと想像とかけ離れすぎて「なんじゃこりゃ?」となってしまうかもしれません。
プログレバンドを一掃してしまうほどの超絶技巧を魅せてくれるピアノトリオの名盤を是非。
XYZ
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